| 総合的な学習の時間とは |
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| ○総合的な学習の時間とは |
| 総合的な学習の時間とは,「各学校が創意工夫して,各学校ごとに教える内容を決めて行う授業」のことです(文部科学省より,以下総合的学習)。 総合的な学習のねらいとしては, ・自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考える力の育成 ・情報を集め,調べ,まとめる力を身につけること の2点があげられます。つまり,児童・生徒の自主性や主体性,学び方を育成することがねらいです。 次に,総合的な学習の時間の活動や学習内容の柱は, ・地域,学校,子どもたちの実態に応じて,各学校が創意工夫を生かして特色のある活動 ・国際理解,情報,環境,福祉・健康など,従来の教科をまたがるような課題に関する学習 です。また,こうした学習や活動を通して,子どもたちが各教科教育で学習したここの知識を結びつけ,総合的に働かせることができるようになることを目指しています。 具体的な活動としては,自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察や実験,発表や討論,ものづくりや生産活動など,体験的な学習や問題解決的な学習が取り入れられた活動があげられます。 ○生涯学習 子どもから大人まで,すべての人々が生涯を通じていつでも自由に学ぶことが生涯学習である。 たくましい子どもを育てていくためには,学校だけでなく,家庭や地域社会をはじめとする,学校外で様々な体験活動を行うことが重要。 また,自己向上・自己成長のため,急速な技術革新や社会の変化に対応するため,子どもだけでなく大人にも学ぶ機会が必要。 文部科学省は,多様な学習の機会や場所,情報を提供することで,いつでも自由に様々なことがらを学ぶことができる「生涯学習社会」の実現を目指していく。 |
| ○なぜ総合的な学習の時間なのか? |
| 2002年度から,学習指導要領が改訂されることになりました。その大きな特徴の一つとして,新たに「総合的な学習の時間」がもうけられることになりました。これは,「各学校が創意工夫して,各学校ごとに教える内容を決めて行う学習(総合的学習)」のことです。 しかし,その一方で文部科学省は,学習内容の削減をし,「ゆとりの教育」を目指す方針も明らかにしました。これは従来行われてきた知識偏重の教育や詰め込み教育に対する批判から生まれたものですが,一方で「学力低下」を招くのではという懸念があります。 いずれにせよ,このような背景の中,総合的学習はどうあるべきなのでしょうか? また,総合的学習の必要性とはいったいどんなものなのでしょうか? ◆総合的学習の必要性 従来の伝統的な学校教育は,知識偏重の教育,詰め込み教育といった批判をあびてきました。これは,日本の大学が諸外国と比べ,「入るのが難しく,出るのがたやすい」,そして「大学のレジャーランド化」といった言葉に代表されるかもしれません。つまり,日本の学校教育は「知識を頭に詰め込むこと」をあまりにも重視しすぎたため,「学んだことを何かに生かそう」とか,「自ら何かを学ぼう」といった,学習の利用や主体性が軽視されているということです。 とは言うものの,これが即,今まで行われてきた「詰め込み教育が悪い」ということを意味してはいません。つまり,「詰め込み教育が悪い」のではなく,「詰め込み教育だけをするのが悪い」ということです。日本の識字率や演算力は世界でもトップクラスです。これは国際数学教育調査(IEA)等によっても示されています。こうした世界規模の調査の結果から,日本の教育は高水準を保ているように見えますが,実はそれは表面的なものである可能性もあります。これは先のような国際調査が,単に覚えていることやできることを調べており,必ずしも理解していることを調べているとは限らないからです。これはテストの性質上,ある意味仕方がないかもしれません。 日本の子どもたちが,加減乗除といった演算は正しくできるとしても,その意味や使い方まで正しく理解できているかどうかは正直あやしいところです。さらに悪いことに,学校で習ったことは学校の中で意味を持ち,日常生活ではなじみの薄いものとなっているという問題もあります。これは学習者の意識の問題です。「分数ができない大学生」というのが一時期話題になりましたが,日常生活で「分数の計算式が解けなくて困る」と実感している人がいったいどれだけいるでしょうか。そんな人はほとんどいませんね。 では「分数の計算はできなくてもいいのか?」というとそうではありません。これはどういうことかというと,「分数の計算式が解けなくても困らない」が,「分数の計算はできないと困る」ということです。今までの学校教育では前者は教えられても,後者はあまり教えられてこなかったことでしょう。学んだことを生かすということや学んでいることの意義も教えることがこれからの教育には必要です。 ◆教科教育と総合的学習の違いと関連 −野球を例に− これを「野球」で例えてみます。これまで重視されてきた国語,社会,数学,理科,外国語といった教科の学習は,ランニングやキャッチボール,筋力トレーニング,素振りといった野球の基礎・基本の練習,いわばパート練習です。これに対して,総合的学習は野球(のゲーム)そのもの,全体練習,あるいは実践です。 今までは,ランニングやキャッチボール,筋力トレーニングだけのパート練習で,野球そのものの(ゲームやゲーム形式の練習)はほとんど行われてきませんでした。毎日毎日ランニングやキャッチボール,筋力トレーニングだけで,肝心のゲーム(試合)ができなければ,どんな野球小僧でも野球が嫌になるでしょう。野球の試合があるからこそ,日々の練習の意義を見出し,そのつらさに耐えられるのです。 学校での学習も同じことです。国語や数学といった教科の学習があって,それでいて教科で学んだことを生かす場=総合的学習があるからこそ,学ぶ意義や価値が生まれ,学んだことが生かされるようになり,学習者が自ら学ぶようになるのです。 言うまでもないかもしれませんが,野球において,ランニングやキャッチボールといったパート練習も,ゲーム形式の全体練習もどちらも大切です。ゲーム形式の練習だけをしていればいいというものでもありません。当然,学校教育についても同じことが言えます。総合的な学習だけをして教科の学習をないがしろにして良いというわけではありません。教科の学習と総合的学習の両方が大切ですし,教科の学習で学んだことを生かしてこそ,総合的学習と言えるのです。 |
| ○総合的な学習の時間の定義 |
| 先に述べた,文部科学省の総合的な学習の時間(以下,総合的学習)の見解をふまえ,教心ネットにおける総合的学習の定義を以下に示しました。 ◆総合的学習の定義 ○児童・生徒が自ら課題や目標を設定し,自ら学ぶ学習 ○教科の枠組みを越え,日常生活の中から課題を見つけ,教科で習った知識や技術を応用する学習 この2つの定義は,前者が学習の「方法」について,後者が学習の「内容」についての定義です。 |
| ○総合的な学習の時間のあるべき姿 |
| 2002年度から正式に実施される総合的な学習の時間。すでに実践を行っている学校がたくさんありますが,その実践例をいくつか拾ってみました。 昔の遊び,クラス新聞づくり,地方の料理の実習,お遊び英語,障害者との強制交流,廃品回収で家をまわる,どろんこ遊び,郷土史,ケナフ,小麦を栽培し収穫して製粉しうどんを作る,方言の学習,水田の観察,ブルガリアを知ろう,ゴミ処理施設訪問,つくろう!ぼくらの創作民話集,「え、東京の小学校で米作り?」,カナダのサリバン小との交流,ペットボトルプロジェクト2,パソコンタイム,お年寄りの方から学ぼう,養護学校や老人ホームとの交流,低地のくらし,ブナと生きる口吉川,こんなとこふるさと「よどえ」発見,銅鐸の町加茂をPRしよう,川の水質調査,メールによる国際交流,ホタルの飼育,豊かに学ぶ子どもの育成,ボランティア活動,稚イカの放流,民芸・民話民話を研究,切り絵の体験学習,富士山学習,廃棄車いすのリサイクル,免田式土器や古墳,祭りや芸能、独特の食文化などのモッコスタイム,スポーツ・レクリエーション,Webページコンテスト,製鉄法「たたら」,ほか。 注)上記の実践は中学校も含まれますが主に小学校でのものです。 さて,教心ネットでは,総合的な学習の時間(総合的学習)を以下のように定義しました。 ◆総合的学習の定義 ○児童・生徒が自ら課題や目標を設定し,自ら学ぶ学習 ○教科の枠組みを越え,日常生活の中から課題を見つけ,教科で習った知識や技術を応用する学習 ここでひとつ付け加えておきたいことは,総合的学習の時間で学ぶ内容が,教科の学習では学べない内容であるかどうかです。教科の学習で学べる内容ならわざわざ総合的な学習の時間で学ぶ必要はないと思われるからです。 それでは,まず上記の総合的学習の時間を,教心ネットの独断で内容別に分類してみようと思います。 1.社会科系:(現行社会科で学習可能な内容) 昔の遊び,郷土史,ゴミ処理施設訪問,低地のくらし,ブナと生きる口吉川,こんなとこふるさと「よどえ」発見,銅鐸の町加茂をPRしよう,免田式土器や古墳, 2.IT系:(情報技術に関する内容) クラス新聞づくり,パソコンタイム,Webページコンテスト, 3.地域理解系:(地域全般に関する内容) 地方の料理の実習,方言の学習,祭りや芸能、独特の食文化などのモッコスタイム, 4.国際理解系:(諸外国の人々との交流や文化等の学習) お遊び英語,ブルガリアを知ろう,カナダのサリバン小との交流,メールによる国際交流, 5.医療・福祉系:(医療や福祉に関する内容) 障害者との強制交流,養護学校や老人ホームとの交流,ボランティア活動, 6.環境系:(環境に関する学習や活動等に関する内容) 廃品回収で家をまわる,ケナフ,川の水質調査,稚イカの放流,廃棄車いすのリサイクル, 7.科学系:(科学に関する内容) ペットボトルプロジェクト2,ホタルの飼育, 8.文芸・教育系:(文化,芸術,教養,教育に関する内容) お年寄りの方から学ぼう,豊かに学ぶ子どもの育成,民芸・民話を研究,切り絵の体験学習, 9.活動・実習系:(上記1〜8に該当しない活動・実習) どろんこ遊び,小麦を栽培し収穫して製粉しうどんを作る,水田の観察,つくろう!ぼくらの創作民話集,「え、東京の小学校で米作り?」,スポーツ・レクリエーション, 10.その他:(上記1〜10に該当しない内容,および複数カテゴリに重複する内容) 富士山学習, 製鉄法「たたら」, 以上のように,総合的学習の時間を,10のカテゴリに分類してみました。この10に分類された総合的学習が,定義に沿っているかどうかを見てみましょう。 ○1.社会科系 これは現行の小学校社会科で学習する内容と重複します。定義の2つ目から考えて,わざわざ総合的学習の時間で取り扱う内容ではないように思われます。 ○2.IT系 実践例は少ないですが,内容的に見て問題はないと思われます。ただし目的や方法においては大いに議論の余地があるでしょう。 ○3.地域理解系 小学校社会科で自分たちの住む地域のことは学習しますが,その他の地域については中学校の社会科(地理)で学習します。しかし地理では,気候や地名,農・産・工業などについて学習するため,実践例にあるように地方の料理や方言を題材として取り上げることは必要なことかもしれません。ただしこの場合発達段階を考える必要があるでしょう。身近な地域以外の地域についてよく学習しないまま,このような内容を取り上げることは好ましくないでしょう。 ○4.国際理解系 発達段階を考慮する必要があるのは3.と同様です。これは世界の地理的・歴史的・文化的背景をある程度理解していないと,時に差別や偏見にもつながりかねないという重大な問題を含んでいます。単に外国を知ればいいとか,単に外国と交流をすればいいという訳にはいかないでしょう。 ○5.医療・福祉系 これから少子高齢化社会を迎えるにあたって,このような内容を取り上げることはとても大切なことです。このような活動を通して何を学ぶべきかということはあえてここでは述べません。問題なのは具体的にどのように取り組んでいくべきなのかという方法論でしょう。とある実践例で,老人の方と小学校で交流会を開こうというものがありましたが,実際にやってみると,「子どもたちのグループの中で,老人がひとりぽつんとすわっている」状態でした。これでは交流会どころか,老人をさらし者にする会です。これはテーマそのものが間違っているというわけでなく,どのような配慮が必要なのかということが,子どもたちにも先生にもよく把握できていなかったためでしょう。 ○6.環境系 これには大きく分けて2つあると思います。ひとつはグローバルな環境問題,もうひとつは身近な環境問題です。グローバルな環境問題というのは,世界的規模でおきている環境問題について取り上げたもののことです。たとえば二酸化炭素などによる地球温暖化の問題では,地球的規模で早急に対策をとらなければいけない問題ですが,子どもたちに二酸化炭素の排出を制限しようと言っても,それほど意味があるとは思えません。もちろん全く意味がないというわけではありませんが,このような環境問題の取り上げ方の問題点としては,子どもたちに環境問題の実感や効果が少ないということです。もうひとつは身近な環境問題というのは,今すぐにでも取り組める身近な環境問題です。たとえば生活ゴミの削減や分別をするなどです。これらは子どもたちに活動を通して環境問題を考えることになり,地道な作業ではあるけれども実感や効果を伴う取り上げ方でしょう。 ○7.科学系 サンプルが少ないせいもあるのですが,実践例が少ないと思います。近年,理数離れが問題になっており,さらに学習指導要領の改訂で小中学校で習う理科や数学の学習内容は大幅に削減されます。こうした問題を解決するためにも,総合的学習で知識よりも興味や関心を育てるような題材を取り上げて欲しいものです。また,理科や数学で習ったことが日常生活においてどのように利用されているのか,ということを学ぶことは教科教育にとって大いにプラスになるはずです。我々は,なぜ理科や数学を学ぶのか?これを考える良い機会だと思います。 ○8.文芸・教育系 実践の意義そのものが見えてきません。 ○9.活動・実習系 活動の意義そのものが見えてきません。実践にあたっては目標を明確にする必要がありますが,その目標が果たして教育の目標として適切なものか,そして意義のあるものなのかということを検討する必要があるのではないでしょうか。 10.その他 実践の意義そのものが見えてきません。 さて,総合的学習の時間で取り上げられたテーマを拾って,分類してみました。それぞれについては感想を述べましたが,全体を通して思ったことは,取り上げられたテーマに偏りがあり,取り上げる必要があるはずのテーマが少ない,そして取り上げる必要があるのかと少し疑問に思うテーマが取り上げられているということです。まず,取り上げる必要があるテーマというのは,子どもたちにとって身近な問題,急を要する問題などです。 たとえば,神戸でおきた児童殺傷事件での「透明な存在」という言葉は,現代の子どもたちの心の闇の部分を表したものだと思います。これは「自分とは何か?」という自己の意識や存在意義という思春期にクリアすべき課題です。今の学校や家庭に,このような問題について考える機会があるでしょうか? もう一つ例を挙げておくと,子どもの生活や健康に関する問題です。ゲームの普及による視力低下,遊びの屋内化による運動不足,過剰なダイエット,食べ物の好き嫌い,朝食を食べない・食べられない,間食による栄養の問題,夜型人間化,などなど。一説には切れやすい子どもというのは,乱れた生活のリズムや栄養の偏りが原因のひとつと言われています。このような問題は,最も身近にありながら最も問題視されていない課題ではないでしょうか? |
| ○総合的な学習の実践案 |
○今まで学んできたこと・これから学ぶべきこと −進路研究・職業研究(中学・高校3年生用)− ・問題目的 高校や大学に入るために勉強をしても,実際に進学先でどのようなことが学べどのようなことができるのか,何をしたいのかなどを考える機会は非常に少ない。そこで,自分が進路先として選んだ学校や職業が実際に何ができ何を必要とするのかを調査研究する時間として「進路研究・職業研究」を取り上げる。 例1.○○学部ではどんなことを学ぶか? 例2.○○学部で学んだことは,どんな職業に活かせるか? 例3.○○という職業にはどんな知識や技術が必要なのか? 例4.○○という職業に就くにはどうすればよいのか? ・計画素案 4月・・・得意・不得意教科,興味のあることについて発表 5月・・・将来の目標・進路について発表 6月・・・進路研究・職業研究(夏休みでの取り組み)計画立案 7月・・・進路研究・職業研究(夏休みでの取り組み)計画発表 8月・・・進路研究・職業研究(大学の研究室,高校・大学の過去問,職場体験etc) 9月・・・夏休みでの取り組みの報告・発表 10月・・講師を招いての講演 11月・・総括(進路決定)と今後の計画 12月〜2月進路に向けて(テスト勉強等) ・注意点 普段教科の学習で習っていることが,いかにして職場での知識や経験に関係しているか,大学で学ぶ学問で必要とされているかについて触れなければ単なる進路指導にとどまってしまう。 |