| 教育時事過去ログ2005-10 | |||
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| ■中教審:小学校高学年で平均週1回の英語教育を提言(2006.3.28毎日新聞) 中央教育審議会の外国語専門部会は27日、小学校で英語の必修化を求めた報告をまとめた。アジア各国で小学校段階の必修化が相次ぐ中、英語コミュニケーション能力の育成が不可欠として高学年(5〜6年)で平均週1回(年間35単位時間)の英語教育を行うよう提言した。実施時期や授業時間数などは今後、中教審教育課程部会が検討し、早ければ06年度にも行われる学習指導要領改訂で盛り込まれ、08年度にも実施の見通し。 「名人教師」に学べ 先生向け教室に人気(2006.3.21朝日新聞) 指導力に定評と実績のある名人教師から、現役の先生たちが指導法や日常の自己管理、教材開発などを学ぶ「教室」が人気だ。若手教師たちが実践的な技術を求めているのが一因のようだ。 ◇目標定め、厳しく自己管理 元中学教師の私塾 目標を見つめ直し、日々の行動を厳しく点検する――。天理大非常勤講師の原田隆史さん(45)は、東京と京都、大阪で毎月開く「教師塾」で、生活指導や教科、部活指導に生かせる教師自身の自己管理について教えている。 原田さんは大阪市立中の元教師。一時期荒れた学校をたて直し、顧問をしていた陸上部から全国1位を相次いで出した実績を持つ。03年、教師歴20年を機に教員をやめて塾を始めた。 大阪会場は間借りした語学学校の一室。3月上旬の金曜日、午後7時から始まった塾は、小学校から高校まで、50人以上の教師たちで埋まっていた。20代30代が多く、教師を志す学生もいる。 「自分とかかわりが少ない子の名前を書き出して翌日声をかけています」「部の生徒に目標を書かせたら、それぞれのやるべきことが見えた」 参加者は5人のグループ内で1カ月の取り組みと成果を次々発表する。時間は2分。壁にはった模造紙にも書き込む。 続いて前回の宿題「人生のビジョン」の発表。今後15年間を1年ずつ区切り、学校、人生、家庭と領域を分けて「未来」を設定していく。「定年」など予測できる事柄と、そのときに何を達成していたいかという目標を明確にする作業だ。 原田さんの声が飛ぶ。「未来を決めてから今何をするか考えるのが成功のひけつです」「指導者がふらふらしていたら生徒はついてこない」。参加者は、重要と思った言葉を付箋(ふせん)にメモして、ノートにはっていく。 夕食をはさんで午前2時半すぎまで。その後も参加者同士で話し込む。 「勤務先にない熱気がある。目標を決めて頑張ろうと思えた」「生徒の学習態度を変えられずに悩んでいたが、自分を変えれば生徒が変わることに気づかせてもらった」参加者はそう話す。 受講は無料。必要経費は、企業の社員教育などで原田さんが稼ぐ。「成功の教科書」(小学館)など4冊ある著書の収入の一部もあてる。 「教師を育てないと日本の将来は無い。教師への風当たりが強い今、若い人を応援したいんですわ」と原田さんは話す。 ◇退職校長がマンツーマン 各地の教委も始動 教育委員会が授業力向上に乗り出す動きもある。 03年に始まった新潟県長岡市の「教員サポート錬成塾」。力量のある退職校長が「先生」になって、希望する現職教師のもとを訪ね、マンツーマンで授業や学級経営の方法を指導する。 (1)ベーシック(教職2〜6年目)(2)クリエーティブ(7年目以降)の2コースがあり、現在37人が受講している。 4月に始まる東京都教委の「東京教師道場」の指導役は、退職校長ら学習指導専門員10人。教職5〜10年の若手400人が指導を受ける。小中高、教科などで計50のグループに分け、先輩教師が2人ずつ助言者として付く。 2年間にわたり、助言者の授業の見学、指導案づくり、教材開発などを通じ授業力を磨く。 ◇学級崩壊防ぐコツ NPOがセミナー NPO法人「授業づくりネットワーク」が東京で隔月に開いている教師力UPセミナーは、「教え上手」で鳴らし、著書もある現職とOBの教師らが講師だ。受講者約50人は30代が中心。 「困難な現場を生き抜く教師の実践授業術」と題した2月のセミナー。 横浜市の公立小で教師経験35年の野中信行さんが、学級崩壊を防ぎ、まとまりのあるクラスを作るコツを披露した。算数の模擬授業では、参加者に計算問題を解かせ、ストップウオッチによる計時方法や声かけのタイミングなどを細かく手ほどきした。 ■授業力向上、重要課題に こうした試みをどう見るか。 国立教育政策研究所総括研究官の木岡一明さんは(1)都市部を中心に急増した若手教師が、役に立つスキルを求めている(2)中堅以上も、子ども、家庭、地域の変化に伴い、従来の教え方が通用しにくくなっている、という事情を指摘する。 かつての学校は、放課後などの授業談義が盛んで、ノウハウが先輩から後輩へ伝えられたが、学校の小規模化で1校の教師数が減ったことや、勤務が忙しくなったことでその伝統が薄れた。80年代以降、校内暴力や不登校の問題が増え、生活指導に重点が置かれ、授業が後回しになった面もある。 木岡さんは「これまでは授業力の問題が隠れていたが、親の目も厳しく、学力向上が学校の重要課題になるにつれて、大前提の授業力が浮上してきた」と見ている。 ■進学も格差…子どもへの期待や費用、所得で開き(2006.3.14読売新聞) 家庭の所得によって、子どもの進学への期待や習い事にかける費用に格差が出ていることが、「こども未来財団」(東京都港区)の調査で明らかになった。 調査は昨年10月、20〜44歳の既婚男女約2400人に行い、回答者の家庭所得を年収「200万円未満」から「1000万円以上」まで6分類した。 1000万円以上の家庭では89%が子どもに大学・大学院進学を希望しているのに対し、200万〜400万円未満は44%、400万〜600万円未満は60%。200万円未満の家庭では30%が「特に希望はない」と答えた。 第1子に習い事をさせる割合や平均月謝額も所得に“比例”。1000万円以上の家庭の79%が習い事をさせ、約2万7000円の月謝を払っているのに対し、400万〜600万円未満と200万〜400万円未満の家庭では、それぞれ52%、約1万2000円と38%、約9600円だった。調査にかかわったお茶の水女子大の坂本佳鶴恵教授(社会学)は「子どもの教育費は『かかる』というよりも『かける』ということが明確に表れた。所得差が教育格差につながりかねない。子育て世帯への教育費の支援が今後の課題になる」と話している。 ■首都圏の私大入学生、親の2割が借金…平均166万円(2006.3.14読売新聞) 昨年春に子どもを首都圏の私立大・短大に入学させた親のうち、5人に1人は借金で入学費用を捻出(ねんしゅつ)し、借入金の総額は1985年度の調査開始以来、最高の平均約166万4000円に上ったことが13日、東京地区私立大学教職員組合連合の調査で分かった。 仕送り額も1987年度の水準にあたる月平均10万1400円に落ち込み、ここから家賃を差し引いた生活費は4万2700円で10年連続の減少となった。 調査は昨年5〜6月、新入生の保護者約4100人を対象に実施。入学費用を金融機関などから借り入れた親は全体の21・9%。自宅外通学の親は25・5%が借金をしており、借入金額も平均193万1000円。 受験から入学までにかかる費用は、自宅外通学が受験費用や初年度納付金、家賃などを含め計約214万3000円(前年度比2・1%増)、自宅通学が約149万円(同0・9%増)。 特に自宅外通学の生活用品費が前年度比24・4%増の32万6600円に達しており、東京私大教連は「学業や就職活動にはIT機器が不可欠な時代になっており、パソコン購入などが負担増につながっているのではないか」と分析している。 ■過去最低の月4万2700円=自宅外通学私大生の生活費(2006.3.13時事通信) 東京都と周辺の私立大学に、自宅以外から通う学生の仕送りから家賃を引いた「生活費」が2005年度は月額4万2700円(6月)となり、1986年度の調査開始以来、最低となったことが13日、教職員組合でつくる「東京私大教連」の調査で分かった。10年連続の減少で、アルバイト収入もあるとみられるが、仕送りだけの場合、一日の生活費は1423円になる。 東京私大教連は「仕送り減少は、高額の学費による保護者の負担が限界に近づいていることを表している」としている。 昨年5、6月、1都5県の22大学・短大の新入生の保護者に調査し、約4000人から回答を得た。 ■“ゆとり1期生”に愛媛大補習、院生講師が数学など(2006.3.7読売新聞) 愛媛大(松山市)は4月から、新学習指導要領で学んだ「ゆとり教育世代」の1期生にあたる新入生のうち希望者を対象に、大学院生が英語や数学、理科などを教える「補習」を行う。 学力低下が懸念される新入生が講義に付いていけず、嫌気がさして退学するのを防ぐ狙い。教授陣からは「甘やかしすぎでは」と首をかしげる意見も出たが、大学側は「最近の学生の学力低下は深刻。留年者も減らしたい」と、異例の対策に乗り出すことにした。 同大学によると、今年の新入生は約2000人。大学院生5人を“専任講師”として採用し、付属図書館内に新設する「補習室」で、月曜から金曜まで毎日、希望者を対象にマンツーマンで指導する。問題の解き方のほか、リポートの書き方、勉強のスケジュールづくりまで伝授する。 ゆとり教育世代は、2003年4月に導入された「総合的な学習の時間」を柱にした新指導要領をもとに学習。高校の数学では、積分の計算など、約5%の項目がカットされた。 同大学では2004年度、約8300人の学生のうち114人が退学。理由を聞いたところ、「一般教養科目の数学などで内容がわからず、やる気をなくした」などと言う学生が多かった。危機感を覚えた教育・学生支援機構の佐藤浩章助教授(高等教育論)が「初期のつまずきをなくすことが大切」と補習を提案した。 ■日本は「できる生徒」より「人気者」…高校生意識調査(2006.3.2読売新聞) 日米中韓の4か国の中で、日本の高校生は学校の成績や進学への関心度が最も低いという実態が1日、文部科学省所管の教育研究機関による意識調査で明らかになった。 米中韓では「勉強ができる生徒」を志向する傾向が強いのに対し、日本の高校生が最もなりたいと思うのは「クラスの人気者」。もっぱら漫画や携帯電話に関心が向けられているという傾向も表れており、“勉強離れ”が際だつ結果となっている。 調査は青少年の意識研究などを行う財団法人「日本青少年研究所」と「一ツ橋文芸教育振興会」が昨年秋、日米中韓の高校1〜3年生計約7200人を対象に実施した。 それによると、「現在、大事にしていること」(複数回答)として、「成績が良くなること」を挙げたのは、米国74・3%、中国75・8%、韓国73・8%に対し、日本は最下位の33・2%。「希望の大学に入ること」も、米国53・8%、中国76・4%、韓国78・0%に対し、日本はわずか29・3%だった。 「いい大学に入れるよう頑張りたいか」という問いに、「全くそう思う」と回答した生徒は、中国64・1%、韓国61・2%、米国30・2%で、日本は最下位の25・8%。また、「どんなタイプの生徒になりたいか」を尋ねたところ、米中韓は「勉強がよくできる生徒」が67・4〜83・3%を占めたが、日本は「クラスのみんなに好かれる生徒」が48・4%でトップだった。 逆に日本の高校生が他の3か国に比べ、「非常に関心がある」と回答した割合が高かった項目は、漫画やドラマなどの「大衆文化」(62・1%)、「携帯電話や携帯メール」(50・3%)、ファッションやショッピングなどの「流行」(40・2%)など。米中韓でいずれも50%前後だった「家族」は、日本では32・4%にとどまった。 調査を担当した日本青少年研究所の千石保所長は「未来志向の米中韓に対し、日本の高校生は現在志向が顕著で、『勉強しても、良い将来が待っているとは限らない』と冷めた意識を持っている」と指摘している。 ■愛知・犬山市が文科省の全国学力テストに不参加を表明(2006.2.23中日新聞) 独自の教育改革を進めている愛知県犬山市は、文部科学省が二〇〇七年度から全国一斉の実施を目指している「全国学力テスト」に参加しない方針を固めた。〇六年度から全国の都道府県が本格実施する教職員評価制度も拒否する。画一的な学力調査や教員評価は地方の特色ある教育づくりや教員の指導力向上を阻害すると判断した。二十四日の定例教育委員会に、この方針を盛り込んだ重要施策案を提案し、承認される見通し。文科省によると、テスト不参加の表明は初めてという。 児童生徒の学力低下が叫ばれる中、文科省は昨年、児童生徒の学習到達度を測る全国学力テストを〇七年度から導入すると発表。小六と中三の全二百四十万人を対象に国語と算数(数学)について全国一斉の実施を目指している。 同市は子どもが「自ら学ぶ力」をはぐくむことなどを教育目標に掲げ、少人数授業・学級や二学期制、同市の教員が作成した副教本の導入など個性的な教育改革を実践している。国がゆとり教育の見直しを打ち出す中、同市教委と同市小中学校長会が、犬山の基本的な考え方をあらためて施策案にまとめた。 その中で、全国学力テストについて「子どもの成長発達は、地方の特色ある教育目標に即して総合的に評価すべきだ」と指摘。全国一律の学力調査では、犬山が目指す「自ら学ぶ力」は測定できないだけでなく「地方の特色ある教育づくりを阻害する」とした。 教職員が自ら目標設定し、その達成度を校長などが評価する「教職員評価制度」は、愛知県が〇六年度から県内全校での実施を目指している。これに対し犬山市は、独自に自己評価や教員の相互評価を取り入れ、成果を上げていることを強調し「画一的な教員評価は効果が期待できない」として、市内の小中学校への導入を拒否する考え。 中央教育審議会(中教審)の臨時委員も務める石田芳弘市長は「全国学力テストは教育の国家統制につながり、教育の地方分権に逆行する」と話している。 ※教心ネットの見解 教職員評価や全国一律の学力テストなどが必要であるという側面は確かにある。しかし、教育には「目に見える成果」と「目に見えにくい成果」が混在する中での行き過ぎた教職員評価や学力統一テストは、現場教師が萎縮することへつながってしまうのではないかという懸念もある。その点では、犬山市が独自に、自主的に教職員評価を行っていることは大いに評価できる。 とはいえ、学力テストが、学校の序列化や学力偏重主義につながるおそれがあり、学力低下が現実に問題となっている以上、国が責任を持って学力状況を把握し、改善策へ役立てるという必要性はあるだろう。また、地方分権といえば聞こえはいいが、教育の地方分権は、地方切り捨てというネガティヴな側面も含んでいる。「地方の特色のある教育づくり」は、ややもすると地方の暴走につながりかねず、国が最低限の教育水準を維持することへの責任の所在を不明瞭し、強いては地方や各学校、学校教師個人の責任へと降りかかることを意味する。従って、教育は国家百年の大計なのだから、国全体で教育の状況や成果を把握するのは、ある意味当然の課題である。それだけに、こうした動きを「画一的」とか「国家統制」といった表現で片づけてしまうことは適切性に欠けるかもしれない。教育は憲法に定められた国民の義務であるから、国家レベルで安定した水準の教育を維持すべきであり、地方がその役割をになうべきであるというのが正論だろう。 しかしながら、先程も述べたように、学校教育に対する保護者や地域住民などの評価が必要である反面、それが現場教師への不信感や現場教師の仕事のやりづらさにつながるとしたら本末転倒な話である。 「だれが、なにを、どのように」、そして「いったいなんのために評価するのか」という中味の精査なくして、全国学力テストや教職員評価制度を語ることは、良くない事態を招くにつながりかねない。 ■文科次官、学習指導要領で「06年度中の改訂目指す」(2006.2.13朝日新聞) 「ゆとり教育」のもとになっている今の学習指導要領に代わる次期指導要領について、結城章夫・文部科学事務次官は13日の定例記者会見で、「指導要領は『言葉』と『体験』をキーワードに、早ければ06年度中に改訂する」と述べた。文科省はこれまで全面改訂のスケジュールについて07年度末までとしてきたが、教育改革の加速を望む声が強いことを踏まえて1年前倒しした。 この日は、中央教育審議会の教育課程部会が開かれ、新たな指導要領の基本理念をまとめた「審議経過報告」がまとまった。 同報告は「今、子どもたちに必要なものは、学習や生活の基盤で、その際『言葉』と『体験』を重視する必要がある」と指摘。国際学力調査などで明らかになった読解力や論述力の弱さを克服するため、すべての教科の基本に言葉の力を据えるよう提言した。 今後はこの理念に基づき、具体的な指導要領の中身について各教科ごとの専門部会で議論し、全面改訂に向けた最終答申が出る。 ■1.4+3=1.7? 小五の4割が誤答、長野県教委調査 県教委は10日、県内の小中高校生を対象に本年度実施した学力実態調査の結果を公表した。小学5年の算数で、小数と整数の足し算「1・4+3」の正答率は前年度を9・9ポイント下回る45・9%。足すべき位を間違え、「1・7」(正解は4・4)と答えてしまう児童が44・2%に達した。 現行の学習指導要領で、小数と整数の足し算は小学4年で学ぶ。県教委は「(2002年度の)指導要領改定で算数の教科書から、3を3・0とする表記がほとんどなくなり、学校でも教えなくなっているせいではないか」と分析している。 03、04年度に5年生を対象に行った「1・2+5」の足し算の正答率はそれぞれ56・6%、55・8%と、徐々に低下。「1・7」(正解は6・2)とする誤答率は04年度が37・9%で、本年度はさらに6ポイント余り増えたことになる。 一方、小学4年が対象の2けた同士の掛け算「80×40」の正答率は、2000年度は66・9%だったが、指導要領改訂後の03年度は48・2%と悪化。その後は04年度56・9%、本年度63・8%と向上している。 県教委は「ドリル学習などの繰り返し指導などの結果と考えられる」とするが、まだ2000年度の水準に達しないため、各校に定着を図る指導を進める考えだ。 ※教心ネットの見解 学校現場で、「1.4+3.1」のような計算ばかりを教えているため、子どもは小数点をそろえるという基本が身につかなくなっている。だから、子どもの多くが「1.4+3」のような足し算を安易に「1.7」としてしまう。このようなことがないために、小数の足し算では、「1.04+3.1」のような小数点をそろえる必要のある計算をドリル形式で反復練習する必要がある。しかし、最近はそのような指導をしなくなった。ましてや「1.04+3.1」のような計算は学校では教えられていない。 また、このような小数の足し算は、以前は小学校4年生で教えられており、小学4年生ですらできたことが今の小学5年生はできていない。それほど学力は低下しているということである。現場教師も少しは問題点を認識すべきである。 ■学習指導要領、「言葉の力」柱に 全面改訂へ文科省原案(2006.2.9朝日新聞) 「ゆとり」から「言葉の力」へ。約10年ぶりに全面改訂される次期学習指導要領に、学校のすべての教育内容に必要な基本的な考え方として、「言葉の力」を据えることがわかった。文部科学省が近く、中央教育審議会の部会で原案を示す。「言葉の力」は、確かな学力をつけるための基盤という位置づけ。学力低下を招いたと指摘を受けた現行指導要領の柱だった「ゆとり教育」は事実上転換されることになる。 指導要領は、日本の学校の教育内容を方向づけるもので、すべての教科や教科書検定などの基本になっている。今回原案が示す「言葉の力」は次期指導要領の理念にあたり、現行の「ゆとり」に代わるものになる。今後、これに沿って各論の議論に入り、各教科の授業時数などの教育課程を詰める。文科省は07年度までに全面改訂を終える予定。それをもとに、教科書編集や教育現場への周知の期間を置いたあと、次期指導要領を本格実施する。 中教審は1年にわたり次期指導要領について議論を続けてきた。 原案では、日本の子どもの学力について、04年12月に公表された国際学力調査の結果をもとに、成績低位層が増加する「二極化」が進行していると分析。なかでも、読解力や記述式問題に課題があるなど、学力の低下傾向があると認めている。また、学習や職業に対して無気力な子どもが増えていると指摘する。 これを補うため、次の指導要領では、言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりを重視する「言葉の力」を、すべての教育活動の基本的な考え方にすると明記している。原案は「言葉は、確かな学力を形成するための基盤。他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段で、知的活動や感性・情緒の基盤となる」と説明している。 各教科にどう反映させていくかについては、 ・古典の音読・暗記や要約力の促進(国語) ・数量的なデータを解釈してグラフ化したり、仮説を立てて実験・評価したりする(数学・理科) ・感性を高めて思考・判断し表現する力(音楽・美術) ――などを例示し、国語力の育成と関連づけた論理的思考力や表現力の重要性を強調している。 ■小中で「国数理」授業増、学力低下受け…中教審部会(2006.2.9読売新聞) 文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の教育課程部会は8日、小・中学校で「国語」と「算数・数学」、「理科」の授業時間増を求める審議経過報告書案をまとめた。近く、最終決定する。 一昨年12月に公表された国際学力調査結果で、日本の子どもたちの学力低下が判明したことを受けた措置。 文部科学省は今後、学習指導要領の見直しに反映させる方針で、「ゆとり教育」の転換は「国語」と「理数」重視で進みそうだ。 報告書案は、国語を「すべての教科の基本」、理数教育を「科学技術の土台」と位置付け、いずれも「充実を図ることが必要」と指摘。その実現のためには、「授業時間数についても具体的に検討する必要がある」と、時間増を求めた。 さらに、国語では、子どもが古典や名作に触れ、日本の言語文化に親しんだり、自分の考えを用紙1枚程度に表現する力を身につけさせたりすることが不可欠と指摘。理数教育では、小数や分数の意味、エネルギーの概念などを実生活と関連付けて理解させることが重要と訴えた。 同部会では今後、「ゆとり教育」を象徴する「総合的な学習の時間」の削減や小学校への英語教育導入の是非なども議論する予定で、国語と理数の時間増については、他教科との兼ね合いを踏まえて調整する方針だ。 文科省によると、現行の学習指導要領に定める国語の標準授業時間数は、小・中学校9年間で計1727時間、算数・数学は1184時間、理科は640時間。 ■<物理嫌い>教職目指す大学生の6割、高校で未履修(2006.2.7毎日新聞) 教育系学部に在籍し、教職を目指す大学生の6割が高校で物理を学ばず、「物理が好き」な学生も2割に満たないことが経済産業省の調査で分かった。物理は理科学習の基礎分野で、同省は「子どもの理科離れを防ぐには、先生の卵の物理嫌いを改善する必要がある」と提言している。 教育系学部の学生(448人)は、他学部に比べて古典と生物を好み、物理と化学を嫌う傾向が強かった。文系出身者が約6割を占め、「物理好き」は17.2%だった。 このうち教師を目指す学生(269人)の中での「物理好き」率は16.7%で、61.3%が高校時代に物理を学んでいなかった。 中学・高校教師は専科以外を教える必要はないが、小学校教師は全教科を教えなければならず、「熱や光の性質」といった基本的な理科知識は物理分野に含まれている。 一方、理工系学部の学生(1558人)の85.5%は高校で物理を学んでいた。「物理好き」の割合も57%と多く、物理の好き嫌いが進路選択に影響を及ぼしていた。 経産省は「理科離れ防止には小中学校での理科教育が重要だが、教師の卵の多くは物理が苦手で、中学卒業以降は学んでいない」とした。 理科指導法を研究している川村康文・信州大助教授(理科教育学)は「教員養成課程の理科の必修科目は『理科指導』の2単位だけだ。実験もほとんどない。必修を増やすなど、実践力を養う工夫が必要だ」と指摘する。 ■部活は「公務」1日2500円 大阪府教委、手当アップ(2006.2.4産経新聞) 少子化や指導者不足などで休・廃部が相次ぐ部活を活性化しようと、大阪府教委は二日、土日などに 部活動を指導する教員の手当を、現行の一日千五百円(四時間以上)から全国で最高額の二千五百円 (六時間以上)に引き上げる方針を決めた。「生徒のために汗を流す先生の努力に報いたい」と府教委。 新年度予算案に必要経費を盛り込むとともに、関係条例の改正案を二月府議会に提出し、新年度からの 実施を目指す。 府教委によると、運動部は府立高校で平成十年度に三千五百十九あったが、十六年度には三千三十二 に減り、中学校(大阪市除く)でも四千三百六十五から四千二十三に減少。 生徒の入部率は十三年度で高校が31%(全国平均52・1%)、中学が62・8%(同73%)と、いずれも 全国平均を大きく下回っており、文化部でも同様の傾向がある。 教員の高齢化や成り手不足などもあって活動停止に追い込まれる部活も後を絶たない。 このため、府教委は有識者らによる検討委員会を設けて活性化策を探ってきた。その結果、学習指導 要領に記載されていないため指導にあたる教員の自発的な活動(ボランティア)とみなされていた部活動を、 「教育的効果が大きい」として公務と同様に扱うことを決めた。 これまで校外で活動を行う場合には教員が交通費などを自己負担するケースもあったが、公務扱いに なることで、出張旅費が支給されることになる。 また、これまでは土日に四時間以上、部活指導にあたっても一日千五百円の特殊勤務手当が支給される 程度だったが、「教員の労に報いたい」(府教委)と手当も増額。二段階にわけて、六時間以上は二千五百円、 四時間以上六時間未満は二千円を支給する。 ■中学入試に変化の波 全寮制学校新設、公立志向の退潮(2006.1.30朝日新聞) 私立の中学入試が全国で始まった。首都圏では小学6年生の6人に1人が受験する見通し。九州や全寮制の学校が開校する東海地方のように公立優位だった地域でも受験志向が強まってきた。一方で、近畿地方や首都圏では定員割れする学校も目立ち、私立間の二極化傾向もある。 ■東海―海陽開校で受験熱 公立志向が根強い東海地方で、中学受験熱が高まっている。愛知県蒲郡市に、全寮制の私立中高一貫男子校「海陽中等教育学校」が4月に開校する。その影響もある。 入試は最大3回受験でき、120人の募集に対して志願者は全国から延べ920人。実質倍率は4.4倍だった。 海陽はトヨタ自動車やJR東海などが中心となって設立。「次代のリーダー養成」を掲げ、企業派遣の社員が寮で寝食を共にして学習や生活を指導する「全人教育」を特徴とする。 名古屋会場入試は、他の私立中学と並んで県内では最も早い21日に実施された。海陽だけを受験したという愛知県豊田市の女性会社員(38)は「公立が悪いとは思わないが、全人教育などの考えに共感した。既存の進学校とは違う教育をやってくれそう」と話した。 中学受験では珍しく、1次試験400点のうち小論文が100点を占める。校長予定者の伊豆山健夫氏は「多様な子、粗削りでも伸びる子を選びたい」という。 名古屋市を中心とする進学塾「明倫ゼミナール」は、「海陽の影響や勝ち組志向、公立との学力格差から、私立志向は高まっている」という。 東海中学など私立進学校との併願は多いものの、全寮制で全国募集という特殊さから、海陽とほかの私立校が受験生を奪い合う形にはなっていない。実際、倍率を伸ばした私立校も目立つ。 ■首都圏―実績で「二極化」も 2月に本格化する首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の中学入試受験率は昨年(15.4%)を上回り、過去最高を更新しそうだ。受験者は、小6の6人強に1人という。 受験者増は、大手進学塾の模試を受けた子の多さから推測できる。例えば四谷大塚の昨年末の模試は前年比で7.5%増えている。少子化と言うが、東京近郊はマンションが次々に建ち、逆に子どもが増えている。学力低下不安による公立離れもまだ底を打たない。 「偏差値60以上の難関校が志願者を増やし、下位校は減らす二極化が進んでいる」 中学入試に詳しい森上教育研究所の森上展安代表は話す。 05年春に東大合格者を前年より増やした麻布中(東京都港区)は、志願者が前年より9%増えた。東大理系に現役2人が受かった目黒星美学園(世田谷区)は、学校説明会を複数回開いたが、参加者が前年の倍という回もあった。大学進学実績で人気が左右される傾向が強まった。 公立側も中高一貫校を作って巻き返しを図るが、それが中高一貫教育にお墨付きを与え、私学人気も押し上げた面があると森上さんは見る。 公立の変革は小中一貫に進む。東京都三鷹市は今春、市立第二中と第二小・井口小で小中一貫教育を始める。「9年一貫で良い教育ができるのは確か。その結果、生徒が公立に戻ることになればいい」と市教委は話す。 ■近畿―定員割れに危機感 私立が解禁日統一 近畿2府4県の私立中は、今年から初めて入試の解禁日を1月14日に統一した。少子化で定員割れの私立が相次ぎ、公立の中高一貫校も開校する厳しい環境の下、生徒を安定確保する手立てだ。 大阪府内の私立中は59校で、定員を満たしたのは05年度は26校。大阪市内の私立中の理事長は「受験日がバラバラでは特定の人気校に生徒が集中し、経営的に持ちこたえられない」と言う。 大阪、京都、兵庫の入試日は94年当時の3月1日から昨年の1月22日へと早められてきた。奈良、和歌山はこれまでも一足早い1月中の実施を続けてきた。 そこへ、和歌山で、進学校で知られる県立向陽高が、04年度から中学校を開校し、併設した。昨年の受験倍率は10.49倍。今春も2校の中高一貫校が新設され、いずれも21、22日に入試を実施した。これが、和歌山の私学が受験日を早めたいと考えた一因になった。 さらに大阪、京都、兵庫が奈良、和歌山などに足並みをそろえる形で入試解禁日が統一された。 近畿私立中学高校連合会は「関西は、自宅から学校まで1時間以内で通学できる生徒が多い。足並みをそろえないと、共倒れになりかねなかった」と話す。 ■九州―女子受け入れ機に私学人気が上昇中 県立高校の人気が根強い九州では首都圏ほど中学受験が過熱しているわけではない。しかし、地元の大手塾は「東京の受験ブームが2、3年後には波及してくる」と予測する。 中高一貫の私立進学校である久留米大付設(福岡県久留米市)とラ・サール学園(鹿児島市)の中学入試は、毎年同じ日で、今年は27日。両校を合わせた志願者数は昨年より79人増えた。両校の受験者数は九州の受験動向を測る指標だ。進学塾の英進館は「子どもの数が減っていることを考慮すると、受験率は過去最高」とみる。 女子の受け皿が増えてきたことも私学人気に拍車をかけている。 福岡市の西南学院中学は96年から共学に。九州各地や山口県からの志願者も増え、中学受験をする女子にとって最難関校になった。久留米大付設や長崎県の青雲学園も、高校の門戸を女子に開放した。受験希望の保護者たちから「中学は女子を入れないのか」と問い合わせが相次ぐ。 一方、長崎県は04年度から、県立の進学校だった長崎東高校と佐世保北高校を、中高一貫校にした。 同県教委は「地元の期待にこたえただけで、決して(私立に対抗する形で)エリート校をめざしているわけではない」と強調している。 ■公立小で英語授業、自治体判断で正式科目に…08年度から(2006.1.26読売新聞) 政府の構造改革特区推進本部(本部長・小泉首相)の評価委員会は26日午前の会合で、公立の小学校で英語を正式な科目として教えられるようにするなど、自治体の判断でカリキュラムを柔軟に変更できる仕組みを設けることを決めた。 2008年度から実施する。 学習指導要領は小中学校で教える科目を定めており、小学校では教科書を使わず、成績もつけない「総合学習」の一環として英語を教えることはできても、正式な科目としては認めていない。しかし、政府は03年から、地域を限って規制緩和する特区で「研究開発学校設置事業」を始め、金沢市など67の自治体に、小学校で英語を正式な科目として教えることを認めている。認定された自治体では、「小学校段階から英語の能力・関心が向上した」「教員の教える意欲も高まった」などの声が出ているため、全国展開を認めることにした。 英語以外にも、中学で教える内容の一部を小学校で教えることも可能になる。数学などが中学進学時に急に難しくなり、ついていけなくなる子供が出るのを防ぐためだ。このほか、ある科目の授業時間を削り、力を入れたいほかの科目に振り向けることもできるようになる。 実施されれば、自治体は内閣府への特区申請が不要になり、文部科学省の審査だけで認定が受けられるようになる。 ■ゴルフ・乗馬必修、愛知の大学が経営者コース新設(2006.1.22読売新聞) 経営者養成に向け、ゴルフや乗馬を必修科目に取り入れた「エグゼクティブコース」が今年4月、名古屋学院大商学部(愛知県瀬戸市)に開設される。 選択科目にはヘリコプターやヨットの操縦もあり、免許を取得すれば単位に認定する。大学側は学部と大学院修士課程の6年一貫教育で経営学修士(MBA)取得を目指し、「趣味を通じた人脈作りは経営者にとって有意義。学生時代に身につければ、後継者としてのスタートも早く切ることが出来る」(岡田千尋商学部長)と意気込む。文部科学省は「聞いたことがないユニークな取り組み」と話している。 大学によると、同学部の学生(1学年300人)の約1割が企業経営者の子弟で、卒業後は経営を引き継ぐケースが多いため、少子化の生き残り策として打ち出した。起業を目指す学生も受け入れるという。 同学部の合格者から希望者10人程度でスタートする。「経営者としての素養を培うため」、韓国や米国などへの短期留学(6〜8週間)も必修科目。授業料のほか、ゴルフのプレー代や各種の免許取得代、留学費用(約300万円)が別途必要。前期入試は2月1〜3日に実施され、出願を受け付けている。 ■主幹教員、全国に配置 主任制廃止(2006.1.4産経新聞) 文部科学省は三日、学年主任教員や教務主任教員などを配置する公立学校の主任制度を廃止し、校長、教頭(副校長の自治体もあり)に次ぐ新たな管理職、主幹教員を全国的に制度化する方向で検討する方針を固めた。主任制度は教職員組合の反対で制度がゆがめられており、主任手当が教組の活動に充当されるなど形骸(けいがい)化していた。また、管理職として明確に位置付けなければ、職責を果たせないといった指摘もあり、文科省では来年度、給与の抜本改革に向けて省内に発足する調査研究組織で廃止を検討する方針だ。 主任制度に基づく主任教員には学年主任や教務主任のほか、学科主任、生徒指導主事や進路主事などがあり、いずれも学校校務を円滑に運営する目的で昭和五十年、学校教育法施行規則が改正され、導入された。 これに対し教職員組合が「教員同士に差別を持ち込む」「主任制度は管理強化のためのものだ」などと主張。激しい反対闘争を展開した結果、全国的な制度化が実現するまで十年を要した。 実現後には、主任教員に支払われる主任手当の受け取り拒否や、いったん受領した主任手当を再び教組側が集金、教組の活動に充てる運動が拡大した。日教組本部が柔軟姿勢に転じた平成七年以降も、半ば強制的に手当を集め、制度を骨抜きにする運動が各地で残っている。神奈川県では集めた主任手当で教組系の基金を創設、残高が累計四十億円にまで達するなど、税金の無駄遣いと指摘されている。 主任教員は管理職ではなく「指導職」と位置付けられているため、現場では「連絡調整役に過ぎない」「命令、指示はできない」などとされがちで、校長を補佐し、学校運営の中核を担うには現行の主任制度では不十分と指摘されてきた。 文科省は「教員給与に対する国民の不信が強まるなか、主任制度のあり方をきちんと議論すべきだと考える。手当を組合活動へ充当するのは特に問題で、国民の理解は得られない。一部自治体で独自に導入されてきた主幹制度が、さまざまな意味で主任制度の欠陥を補っていると考えている」としており、教員給与の抜本改正に向けて専門家からなる調査研究組織の議論を平成十八年度中に終え、二十年春の制度改正を目指す。 ■学ぶ楽しさ 塾が伝授 (2005.12.28読売新聞) 自前のプラネタリウムで勉強の楽しさを伝える塾がある。 横浜市にある小学生対象の学習塾「啓進塾」の教室には、巨大な肉まんのような白い物体がすっぽりと収まっていた。直径5メートル、高さ2・5メートル。プラネタリウム投影用のドームだ。来年早々には完成する。塾を始めてまもなく20年の曽根嘉浩塾長(50)が「プラネタリウムの設置は、ずっと夢でした」と明かす。 校舎は横浜市内に2校舎。不公平にならないよう、両方に作る。投影機の製作は、その道の第一人者に頼んだ。 「横浜では見られない満天の星を見て、宇宙の広がりを感じてもらいたい。南半球で見る逆回転の星空や、赤道付近で見る地平線から上がる星空も体感させたい。何より、楽しみ、感動しながら、勉強してもらいたい」。そんな思いを込める。 麻布、栄光学園、フェリス女学院。校舎入り口に掲げた私立中の合格実績を見ると厳しい受験指導を想像するが、そうではない。 講師はあえて話を脱線させる。都道府県を学ぶ社会の授業では、新潟県出身の講師が、雪下ろし中に屋根から落ちた思い出話を派手なジェスチャー付きで披露。道路の融雪システムの説明に、子供たちが感心した様子で聞き入る。 時計の短針と長針の間の角度を計算する算数の授業では、「ところで、短針と長針が重なるのは1日何回でしょう?」と尋ねる。必死に角度を計算していた子供たちが顔を上げ、「1時間に1回重なるから、24回!」と答える。正解は22回。なぜ24回でないのかを理解するには、少し時間がかかる。その間は、角度の勉強はお休みだ。 「それでいい。勉強は本来、楽しいもの。子供たちには、勉強を嫌いにならずに、学ぶことを面白いと感じながら成長して欲しい。子供が本気になって自分から学び始めれば、学力は一気に伸びる。結果的に入試にも合格するのです」 落語家の三遊亭円窓さん(65)を招いた国語の授業も計画中だ。ほとんどの保護者が賛同している。入塾説明会で、いつも「中学合格だけを目指すなら、別の塾へどうぞ」と言っているからだ。 だが、いかに優秀な講師を集めるかは悩みの種だ。勉強の楽しさを伝えられる講師はそう多くない。話の脱線には、その人の生き方や人間性がにじみ出る。研修で教えられるものではない。実際、講師の採用は面接だけで、ペーパーテストも研修制度もない。 「入塾定員を増やして欲しい」「ぜひ東京にも校舎を」と求められることもあるが、今のところ3校舎目の計画はない。優秀な講師の授業が分散し、授業の質が低下してしまうと考えるからだ。 プラネタリウムが完成したら、塾の子供たち以外にも見てもらう。入塾者を増やすのが目的ではない。「そんな物を常設している塾があるのか、と驚く人の中から、講師を希望する人が現れてくれたらいい」と腹がすわっている。 通塾率 保護者2万1600人を対象にした文部科学省の調査では、2004年度、学習塾に支出をしたのは、公立の小学生で41.3%と、前回(02年度)に比べ2.3ポイント増。支出の平均額は年14万円で、前回より1万円増えた。公立中で支出をした人は74.4%(前回比0.6ポイント減)、私立中55.1%(同0.2ポイント増)、公立高35.1%(同3.2ポイント減)、私立高44.0%(同1.3ポイント減)。 ■サービス高め個別指導 (2005.12.27読売新聞) 「受講生はお客様」という個別指導塾が人気を集める。 東京・池袋駅前のビルのワンフロアに、2畳ほどに小さく仕切られた「教室」が30近くある。各部屋にドアはなく、ホワイトボード、生徒用の机とイスが置かれている。 チャイムが鳴ると、各教室で一斉に授業が始まった。講師と生徒1対1の個別指導で、図形の問題を解く小学5年生の部屋の隣では、高校3年生が入試の英語長文読解に取り組む。リソー教育(本社・東京)が運営する個別指導塾「トーマス」池袋校の様子だ。 90分の授業中、狭い通路を本多克己校長(40)ほか、教務担当の正社員数人が頻繁に巡回していた。指導の様子をチェックするためで、安全確認の意味もある。授業後は、講師が教務担当から個別指導を受ける番だ。本多校長は「苦手な課題は何だったのか、そこをどう学ばせたか。学習内容や次回の目標をまとめたリポートを元に、時にはあいさつや生活態度まで指導します」と語る。 一人一人の学力やニーズに合わせた個別指導塾が増えているが、1990年に開設したトーマスは「1対1の授業を個室で行う完全個別指導はウチだけ」(同社広報担当)と胸を張る。授業料は週2回で月4〜5万円と割高なものの、現在は首都圏に51校あり、年間4、5校の割合で増えている。 講師の7割は大学生で、採用で重視するのは学力。大学入試並みの試験と面接で選抜する。講師は、子供や保護者の要望を聞き、教務担当が配置する。希望があれば、変更も可能だ。 新人研修を経て講師になった後も、週1回の勉強会や授業前後のミーティングがある。「親は質の高いオーダーメードの教育を求めている。子供たちとの信頼関係を築くために、講師にとっては毎日が研修です」と、本多校長は語った。 全国179教室を展開する業界最大手の東京個別指導学院(本社・東京)も、生徒に気持ちよく通ってもらうための「ホスピタリティー」を重要視する。「おもてなし」といった意味で、こちらは講師1人が生徒1、2人を教える。授業料は週2回で月3万数千円。講師の大半は大学生で、新人研修では児童生徒の出迎えや見送りの徹底、電話対応の仕方などをたたき込む。 さらに、夏の八ヶ岳合宿を含め、年3、4回の研修があるが、「指導技術の習得は主目的ではない」と、研修を担当する人財開発部の堤威晴さん(31)。チーム一丸となって難題を解決するゲームなどを通じ、成功する喜びや協力する大切さを講師に体験してもらう。狙いはずばり、各教室のサービス向上だ。 堤さんが言う。「生徒に喜んでもらえるにはどうしたらいいのかを常に考え、それを自分の喜びとする。講師には、そんな精神を持ってもらいたい。ライバルは一流ホテルです」 学習塾の市場規模 民間調査機関の矢野経済研究所によると、2004年度の学習塾・予備校の市場規模は9650億円で、前年度より1.0%減少した。このうち個別指導塾の市場は3430億円を占めており、前年度より3.9%増えた。大学受験の難易度低下により浪人生が減り、大手予備校が苦戦する中、面接や小論文といった入試の多様化などを背景に個別指導に対する需要が高まっているという。 ■同僚講師が辛口批評 (2005.12.17読売新聞) 同僚が遠慮のない批判を加えて、授業技法を磨く塾がある。 黒板いっぱいにチョークで描かれた世界地図。馬渕教室枚方本部校(大阪府枚方市)の一室で、中学2年社会科の模擬授業が始まった。 黒板を背にしたのは、中堅規模の塾から7月に転職した塩崎勉さん(30)。目の前には、生徒役の同僚9人がいる。 「先週勉強した第1次世界大戦は、どんな性格の戦争だった?」。復習から切り出し、よどみない説明が続く。時に冗談も交え、実際の授業そのものだ。 扱う単元は「第2次世界大戦」。授業マニュアルはあるが、この授業案は7時間かけて自作した。具体的な説明内容や手順だけでなく、注意点や生徒との想定問答、板書計画、教科書に引くアンダーラインの場所まで、B4判4枚にびっしりと書き込んだ。 模擬授業は無事終了した。ところが、同僚の評価は予想以上に辛口だった。 「地図が邪魔で、大事なことを板書できなかった。場所をとるだけで地図の効果は皆無」「『わかりませんかね』と度々言っている。言葉遣いは丁寧でも高圧的に聞こえ、生徒のやる気をそぐ」 塩崎さんは指摘のたびにうなずき、メモをとる。「自分のプラスにするには、ほめられても仕方がない。厳しいのが、むしろありがたい」。黒板の地図は自分なりに工夫した点だったが、2週間後の“本番”では使わないことにした。 馬渕教室は1973年、大阪府寝屋川市で開室した。近畿4府県の57校で約1万2000人が学ぶ関西大手だ。 模擬授業を毎週行うようになったのは15年前。難関校を目指す中学、高校受験の全33校で実施している。白岩誠常務(47)が、その経緯を振り返る。 「保護者や生徒が塾に望むのは、突き詰めれば志望校合格という結果。それが、教室や教師によって、当たり外れが出たらおかしい。教師にとっても若手には学びの場、ベテランには刺激の場になる」 塩崎さんの隣の教室では、数学の模擬授業が進んでいた。真っ先に手を挙げて発表を志願したのが、北海道教育大を今春、卒業した大倉健さん(22)。教員免許を持っているが、選んだのは塾講師だ。 「教員になる訓練として4年間、塾講師のアルバイトをしているうち、学校とは授業後の達成感が違うと感じた」 平日の勤務は午後2時から10時まで。テストの作成や採点などで、深夜まで残業することもある。そんな中、月2回のペースで模擬授業の発表をこなすが、負担は感じないという。 「教え方は何通りもあるのに、模擬授業がなかったら、予習もせずに同じ授業を繰り返すだけになっていたかも」。大倉さんにとっての模擬授業は自らの授業力を試し、維持するバロメーターになっている。 公開授業と研究授業 公立校の教師の場合、授業を子供たち以外に見せるのは、保護者の授業参観などの「公開授業」と、教師間で授業の中身を検討する際の「研究授業」だけ。これらの実施は、学校や教育委員会の裁量に任されている。教師の研修としては、1年目の「初任者研修」や「10年経験者研修」が法的に義務付けられているが、互いに授業を見せて批評し合う体制には必ずしもなっていない。 ■指導力不足、問題教員の給与 19道府県「一律優遇」(2005.12.18産経新聞) 指導力不足教員などの「問題教員」と認定されながら、給与の昇給見送りや延期などの措置を全く取っていない地方自治体が、計十九道府県に上ることが、文部科学省の調査で十七日、分かった。教員給与をめぐっては日教組が長年、能力主義、成績主義の導入に反対し各地で激しい闘争を展開。日教組の影響力が下がり、衰微傾向にあえぐ今でも、勤務成績とは無関係に一律優遇される実態が各自治体では根強く残っており、文科省は教員給与の抜本改革に着手する方針だ。 指導力不足などと認定されながら、教員給与に何のペナルティーも科していないのは、新潟や群馬、愛知、岡山県など十九道府県で全体の40・4%を占めた。この中には給与支給の基礎資料となる教員評価「勤務評定計画」を策定していなかった北海道、福岡、沖縄の三道県のほか、広島や大分県など日教組傘下の組合が強固な県も含まれていた。 年に一度の割合で行われる定期昇給について、指導力不足教員は昇給の対象から外すとしたのは福島や石川県などわずか八県。昇給を延期するのも茨城県、東京都など九都県にとどまり、青森や岩手県、京都など三十道府県は指導力不足と認定されてもそうではない教員と同様の扱いが可能となっていた。 ボーナス(勤勉手当)の算出時の成績率の引き下げを明記しているのは千葉県や滋賀県など十六県のみ。東京都や神奈川県、京都府など三十一都道府県では指導力不足教員に認定されても認定前と同じ取り扱いが可能となっていた。勤務成績が特に優秀な教員を選抜して昇給する「特別昇給」でも指導力不足教員を対象外としたのは二十都府県にとどまった。 教員給与をめぐっては優秀な人材を教職員として確保できるよう定めた「人材確保法」に基づき、教員給与を一般公務員より高く設定する措置が取られているが、実態は一律に全員が優遇される運用が続けられている。これらは「勤務成績をつけ、給与待遇に違いを設けることは教員同士や学校に差別を持ち込むことになる」などと主張してきた日教組が全国各地でさまざまな反対闘争を続けた結果、給与処遇に差異を設けることにいまなお都道府県教委が躊躇(ちゅうちょ)している実態が浮き彫りとなっている。 文科省は「指導力不足教員でも給与が全くこれまでと変わらないのでは、国民の理解は得られないだろう。人材確保法の趣旨に照らしても優秀な教員がちゃんと優遇され、給与制度にメリハリをつけるよう抜本改革する必要がある」として給与制度を見直す方針を固めた。調査研究組織を発足させ、平成十八年度中に結論を出し二十年春にも制度改正を図りたい考えだ。 ■小学生の塾費用16%増加 学力低下の不安から(2005.12.15朝日新聞) 04年度に小学生1人にかかった学習塾や家庭教師などの経費は、前回(02年度)に比べ16.4%増の平均9万6621円にのぼったことが、15日に文部科学省が公表した「子どもの学習費調査」でわかった。「ゆとり教育」を軸とするいまの学習指導要領が導入された02年度からこの費目は増加に転じており、学力低下への不安が塾通いを加速させている様子がうかがえる。 調査は、隔年で実施しており、全国の公私立の幼稚園から高校まで950校、2万1600人を抽出して実施した。 年間の学習費総額を学校種ごとに見ると、公立幼稚園23万8178円(前回比2.2%増)▽私立同50万9419円(同1.9%減)▽公立小31万4161円(同7.5%増)▽公立中46万8773円(同7.2%増)▽私立中127万4768円(同3.5%増)▽公立高51万6331円(同2.2%減)▽私立高103万4689円(同0.4%増)となっている。 最も伸びが高かった公立小は、塾経費や参考書代などを合わせた「補助学習費」が総額を押し上げている。補助学習費は調査を始めた94年度以降、00年度まで4回連続で減り続けたが、02年度は2.7%増に転じていた。公立中は23万4658円で、前回比で7.0%増だった。 このうち、学習塾費だけを取り出すと04年度に1円でも支払った公立小の保護者は全体の41.3%(同2.3ポイント増)にのぼった。 ■教壇への道 難関25倍(2005.12.14読売新聞) モニターを通して授業の様子をチェックする浜学園の教室運営担当職員 “メジャー”昇格まで教壇に立てない塾がある。 「灘中入試に出たぞ」 黒板に複雑な図形を描きながらハッパをかける男性講師の授業。森内美江さん(23)は教室の後ろで必死にメモを取っていた。授業見学は新人講師の義務だ。 灘、甲陽学院など関西の難関私立校受験塾として知られる浜学園(本部・兵庫県西宮市)は、講師になるまでに、米プロ野球並みの下積み期間がある。 大学新卒として講師採用試験を受けた森内さんは、4月に算数の准講師として採用され、7月には講師となった。しかし、これほど早い“メジャー入り”は例外中の例外だ。 現役大学生から中途採用の経験者まで、毎年、1000人以上がペーパー試験を受け、採用される約500人の多くは、まず、子供たちの試験の採点員や模擬試験の試験監督を務めることになる。2次のペーパー試験と10分程度の模擬授業、面接を経て、准講師になれるのは約100人。 准講師は、授業前に子供たちが行う復習テストの監督と採点が主な仕事。関西一円の教室で、授業を見学して教え方も学ぶ。「勉強会」と呼ばれる模擬授業に何度も挑み、現役の講師たちからお墨付きをもらってようやく講師になれる。それまでに平均1年はかかり、しかも講師になれるのは年間約40人にすぎない。 ■小中“一貫”で英語活動(2005.11.9) 英語で日本文化を紹介する事典を読む横須賀中生 小中学校が連携し、英語学習を行う自治体がある。 「It is……、どうしようか?」。4人1組に分かれた生徒たちは、「月見」をどう英語で表現しようか頭を悩ませている。 「日本の伝統的な物や行事を説明する英文を五つ作ってください」。今月1日、愛知県東海市立横須賀中学校2年4組の授業で、英語教諭の平林文香さん(28)は、こんな問題を出した。 使う英単語は簡単でもいいが、どう表現すればうまく伝わるか、自ら考えなくてはいけない点が難しい。ほかのグループも、「剣道」や「うちわ」を説明するのに、和英辞書や事典と首っ引きになっている。 考え込んでいた「月見」グループは平林教諭の助言がヒントになった。「何をする日か考えてみたら」と水を向けられると、「We look at the moon on this day(月を見る日)」「We eat dango on this day(団子を食べる日)」と、英文が次々出始めた。 実はこの授業、教科としての英語の授業ではない。 「総合的な学習の時間」を使ったもので、文法や読解が中心の英語の授業とは別に、コミュニケーション能力を高め、自国や外国の文化の理解を深めることが目的だ。同中では昨年から、1年生が「外国旅行」というテーマで20時間、2年生は「外国からの訪問客の対応」を想定して14時間の学習を始めた。 各単元は2時間。1時間目にこうした調べ学習をし、2時間目にALT(外国語指導助手)を交えた会話練習をする。4組も翌週、作った英文が何を指すのか、ALTに当ててもらうクイズを予定している。 総合学習でも英語を教えるのはなぜか。同中教務主任の堀田正敏さん(47)は、「小学校でせっかく英語に親しんだ子供たちを、中学で英語嫌いにさせないため」と説明する。 東海市は英語の早期教育に一昨年から力を入れ始めた。中部国際空港の開港や愛知万博などが控えていたこともあり、市内の全小学校で総合学習の授業を年20時間使い、ALTを招いた英語活動を始めたのだ。それを受ける形で、横須賀中など2中学校も、総合学習での英語学習に取り組みだした。 東海市の試みがユニークなのは、中学校区ごとに小学校共通の指導計画を市教委が定めている点だ。 小学校の総合学習で英語を教える試みは全国で盛んだが、各校で方針はまちまち。「文法や単語を覚えさせるべきだ」「学力としての英語習得はまだ早い」などの議論があるからで、その結果、習熟度にばらつきが出て、中学校の英語の授業が効率的に進まないという問題が生じている。 共通の指導計画は、こうした混乱を避ける狙いがある。例えば横須賀中学校区の3小学校は、低学年では歌やゲームを中心に、学年が進むにつれ、会話練習を増やすことにした。 同中の堀田さんは「小中学校が一つの線で結ばれたことで、子供たちは『使える英語』を楽しみながら習得できるはず」と手応えを感じている。 ■人間力で教師は伸びる(2005.9.17読売新聞) 教員採用試験対策で模擬授業をする大学生。教師には授業力とともに人間力も求められる クラスの立て直しを任される教師に読者の共感が集まった。 「人の気持ちを前に向かせるのは、並大抵のことではない。真摯(しんし)に向き合っている先生に勇気づけられ、涙が出た」 クラスの子供たちの“心の氷”を解かす授業を紹介した13日付の記事に、東京都内のゲームプランナーの女性(25)が、こんな感想を寄せた。 しかも、「私は子供を信じていない。いまどきの子供は、残酷で人の気持ちも理解できないと思っていた。『悪魔にとりつかれたようなもの。(問題を起こす)彼らだって苦しい』という先生のひと言に、私自身の心が解けました」と言う。 「昔はああいう先生がいました。今はどこに行ってしまったのか」と嘆くのは、東京・武蔵野地区に住む小学6年の女児の母親だ。 「娘の学校では、上履きがなくなったり、ガラスが割られたり、トラブルが続いている。何人かの子供が1年のころから迷惑をかけ、担任を何度も辞めさせているのに、先生方は何もかも見ないふり」「同じような話は、他の学校にもたくさんあると思うが、どこに話を持っていけばよいかわからず悩んでいると思う。ああいう先生には来てもらえないのか」と訴える。 ほかにも、「今の学校に一番必要とされている先生の姿だ」「この先生のように、人の心を動かせるようになりたいと思った」といった声が届いた。 一方で、「『この先生に任せればクラスが変わる』といったカリスマ性を持った教師に期待するようになってはだめだ。しっかりとした教育信念は、すべての教師が持ち合わせて当然なのに」と横浜市内の20代の男性は言う。記事で紹介した教師のかつての立場と同様、小学校で重度障害児の介助員をしている教師志望者からの意見だった。 新人教師をどう育てるかという問題は、古くて新しい問題だ。「日本中どこの学校でも、大きな課題を抱えているのが現状」と盛岡市内の元校長。 三十数年間の教師生活に今春ピリオドを打ったばかりの千葉県の女性は、3人の新人と同学年を担当した経験から、伸びる教師の条件を次のように言う。 「大学の成績や採用試験がいくら優秀でも、現場で優秀な教師とは言えない。コミュニケーションが上手にできる人、誠実な人、情熱のある人、謙虚な心のある人、探求心がある人、自分をさらけ出せる人であれば、教師として成長していける」 人間的な魅力=人間力も、授業力とともに、「教師力」の重要な部分を担うことになる。 道徳の題材を開発し続ける教師(15日付)を読んだ前橋市内の元教師(55)もこんな感想を寄せた。 「最後に勤務していた学校があまりに教師の質が悪かった。『どうしてこんなに自分本位で、先輩の指導を仰いだり、研究会に行って勉強したりしないのか。どうして楽をすることばかり考えるのだろう』と思っていた」 「記事を読んではっきりしました。そういう人たちは、教師にもともと向いていない教師の集まりだったんだと」 先輩のきつい指摘に、耳が痛いという教師はどれくらいいるのだろう。 ■自治体、塾で囲い込み(2005.9.2読売新聞) 東京教師養成塾の合宿で、塾出身の新人教師から体験談を聞く塾生たち(東京・江東区の東京スポーツ文化館で) 教師養成を自前で行う自治体が出てきた。 「子供の成長ぶりが見えるし、学校運営の1年間の流れもわかる。保護者や地域との関係も見えてくる」 東京都教育委員会が昨年4月に設立した「東京教師養成塾」。その合宿が先月末の2日間、都内の研修施設で行われ、都内の各小学校に今春赴任した養成塾の卒業生6人が、養成塾で現在学んでいる大学生たち90人に塾時代の体験談を披露した。 最初に登壇した卒業生は、眠たげな2期生を見て取ると、まず冗談を飛ばし、注目させて話を始めた。大学生たちは、教師としての心構えや堂々とした話しぶりにも圧倒されたという。 養成塾では、選抜試験に合格した都内の大学4年生約100人が1年間にわたり、週1、2日、一つの小学校で実習を続けながら学ぶ。都は塾生を教師として優先的に採用する。大学生の一人は「大学に行きながらカリキュラムをこなすのは相当大変ですが、やればやるだけ報われますから」と入塾理由を語った。 養成塾開校の背景には、都市部を中心に教師不足の時代が始まろうとしている現実がある。第2次ベビーブーム対策として大量採用した教師が間もなく一斉退職するからだ。 こうした教師需給の変化は、これまで狭き門だった教師を志望する学生には朗報だが、玉石混交の教師を大量雇用する学校にとっては、悩みの種だ。青田買いと批判されても、優秀な教師を確保できないと、都民は納得しないと判断した。 ■学習塾が「養成大学院」(2005.9.1朝日新聞) 教師の養成に学習塾が乗り出そうとしている。 「学習指導力、学級運営力、コミュニケーション能力のすべてにおいてプロと呼べる教師が、今の学校にどれだけいるでしょうか」 東京・銀座のビル5階にある日本教育大学院大学の設立準備室で、中岡統郷(とうごう)室長(57)が問いかける。 「栄光ゼミナール」などの名で、首都圏を中心に学習塾約270教室を持つ株式会社「栄光」(本社・さいたま市)が、千代田区内で来春の開校を目指す専門職大学院。そのターゲットは、教員免許を持ちながら、教師以外の仕事をしている大卒の社会人だ。卒業後は、主に私立の中学や高校で教えることを想定する。 塾による教員養成は、もちろん前例がない。株式会社による学校運営を認めた構造改革特区と、高度な職業人を養成する専門職大学院という二つの新しい制度が、この取り組みを可能にした。 ■教師と「理解」深める努力(2005.8.10読売新聞) 「よんで皆」を手に、今後の活動について話し合う大桑小PTAの会員たち 学校へ無理難題をふっかける親が増えていると、教員は考えている。 「嫌いな親がいるので子供のクラスを替えてほしいと言われた」「下校時にパトロールするよう要求されたが、親は何もしないので、協力を要望すると『働いているからできません』と回答が来た」 大阪大学の小野田正利教授(50)が、関西の小中高校と養護学校、幼稚園の教員を対象にしたアンケート「保護者対応の現状」。質問した合計888校(園)のうち、校長や教頭ら507人からの回答を読んだ小野田さんは、教員たちが記した親の力の低下ぶりにため息をついた。 親からの無理難題が「増えている」との回答は80%に達した。担任と話し合おうとせず、いきなり校長や教育委員会へ直談判する親の増加を挙げる教員も多く、親への対応に「難しさを感じている」という回答が90%あった。 なぜ無理難題は増えているのか。再び、教員が記したアンケートから。 「親に社会人としての能力が欠如している」「高学歴者が増え、教師を見下している」「親、特に母親の未成熟ぶり。ミーハー的感覚。『ビミョー』という言語感覚。利己主義。視野が狭い」 ここからは教員たちの、とげとげしいまでの「親観」が浮かぶ。「今の保護者の世代は親が何でもやってくれる環境で育てられ、何かあると自分のせいではないと考える傾向が強い」と、小野田さんも分析する。 だが、その一方で、親たちが知ったら怒りだしそうな見方を書いてきた教員たちもいる。 「学校にお世話になっている感覚が薄れ、対等に要求してくる」「食物アレルギーの子供のために特別食を要求する。センター給食なのに」 「教員は尊敬されるべき聖職」と考える教員の常識と、「教育もサービスなのだから権利は主張する」という親の常識と。これではどっちもどっちで、相互不信は深まるばかりだ。 現状打開の特効薬はないが、小野田さんは教員と親が一緒に、学校のガイドブックを作ることを勧める。年間の行事や教科の説明、生活指導の方針など、内容は何でもいい。「ありのままの学校の姿を親たちに知ってもらうことで、信頼感が生まれる」という。 栃木県今市市立大桑小学校は5月、親たちが中心になって学校ガイド「よんで皆(みーな)」を作った。 呼びかけたのは、2年前に長男が入学した川村多喜男さん(42)。学校5日制で授業時間が十分確保できないなど知らないことばかりだったが、「情報が足りないと学校に迫るのではなく、親の目線で作れば学校のこともよく分かるようになる」と語る。 ガイド編集のアドバイザーを務めた宇都宮大学の廣瀬隆人教授(49)は、「学校への無理難題は、誤解と不信感から生まれる」とみる。今の学校には、教員と親が胸襟を開く場があるだろうか。 保護者対応ストレスに 東京都教職員互助会三楽病院の中島一憲・精神神経科部長によると、2003年に精神疾患で同病院を受診した教師353人のうち、最も強いストレス要因として、「保護者対応」を挙げた人は6%。「生徒指導」(42%)や「同僚・管理職との人間関係」(24%)より少ないが、中島部長は「保護者対応は生徒指導とかかわり、保護者ともめると管理職との関係も悪化するため、複合的なストレスになりやすい」と語る。 ■教師力養う(1) 教壇に立って悩む前に(2005.8.30読売新聞) 採用試験を前に模擬面接に挑む埼玉大の学生たち。保護者とのかかわり合いについても話し合った。 教壇に立つ前から、教師の悩みについて考えさせる時代になった。 送り出した大学側の誰もが耳を疑った。 4月19日朝、埼玉県越谷市の小学校の図工室で、男性教師が自殺しているのが見つかった。3月に埼玉大学教育学部を卒業したばかりの22歳。この日は授業参観日で、4年生の学級担任として、算数の授業を見せることになっていた。 「とても優秀な学生で、採用試験の成績も抜群だった。赴任先や教育委員会からも期待されていたのに」 埼玉大の渋谷治美・教育学部長が悔やむ。遺書は見つかっていないが、初めての授業参観が重荷になっていた可能性はある。 4月28日には、愛知県春日井市の小学校の音楽室で52歳の男性、6月15日には、長崎県佐々町の小学校の教室で40歳の男性――今年は、学校内での教師の自殺が相次いでもいる。 埼玉大は、地元での卒業生の自殺を受け、臨床心理士や大学院で学んでいる現職教師らによる緊急プロジェクトチームを設置。教員養成の方法に問題がなかったか、検証を始めた。 「授業はうまくても、人間として生きていく力が育っていないのではないか」「学生時代から、保護者や同僚との付き合い方を教えておくべきではないか」 そんな様々な意見を基に、5月27日には教員志望の学生を対象に特別セミナーを開いた。テーマは「教師のストレス」。約70人の学生が聴講した。 採用試験目前の8月。学生の姿もまばらなキャンパスで実施された模擬面接でも、保護者との関係を考えさせる場面が目立った。 「ウチの子供の靴がなくなって、上履きのままで帰って来た。いじめられているのではないか」「子供が夜遅くまで電子メールをやっていて寝ない。学校で注意してもらえないか」 保護者からこんな電話がかかって来たら、学級担任としてどう対処するか。学生同士で討論させ、面接官役の教師OBが助言した。 模擬面接に臨んだ学生たちの自殺への関心は高い。 「ショックでした。教師になって初めてわかる悩みというものが、あるんだと思います」「保護者は私たちより年上だし、社会経験も豊富。どんな風につき合えばいいのか、正直不安です。何か悩むことがあったら先輩や学生時代の仲間に相談するつもりです」 埼玉大では、採用試験の合否が決まる秋以降、教師の仕事について改めて考えるセミナーや、現職教師を囲んで教師の悩みについて話し合うゼミも開く予定でいる。 新人教師の不採用 文部科学省の集計では昨年度、1万9565人が小中学校や高校など公立学校の教師として採用された。勤務態度などを見極める1年間の条件付き採用期間後、正式に採用されなかったのは191人。前年より80人増えた。このうち、精神疾患を含む病気で退職したのは61人。死亡は5人で、4人までが自殺だった。 ■広がる技量向上作戦(2005.4.4読売新聞) 「話し方が早過ぎて、途中から訳が分からなくなりましたね」。「有段者」の教師(44)の評価は厳しかった。判定は、8段から39級まである「授業技量検定」の26級。北海道の小学校教諭荒谷卓朗さん(39)は「自分のクラスではうまくいったのに」と唇をかんだ。 横浜市内で先月開かれた教育研究団体「TOSS」のセミナー。参加費8千円で飛行機代も自腹。披露したのは円の面積を求める授業だ。約70人の教師が見守るなか、荒谷さんも含め7人が練習を重ねた授業で検定に臨んだ。 TOSSの発足は2001年。授業に役立つ教育手法の共有化を目指す「教育技術法則化運動」を率いてきた元公立小教諭の向山洋一さん(61)が代表だ。「我流が多過ぎる。自分の技量を自覚してもらおう」と2年前に検定を始め、すでに1700人が“格付け”を受けた。 「学校で授業を見せ合う機会はめったにない。官製の研究会は講義ばかりで組合の研究会は主義主張ばかり。こうした機会が貴重」。厳しい評価にも荒谷さんは前向きだ。 かつては難しかった、個々の教師の力に対する論議。真正面からその力量を評価しようという動きは他にもある。 岐阜県立大垣南高校の英語教師水上尊雄さん(40)が同高の教壇に立つのは週2日。残り3日は他校からの要請に応じて出張授業に出かけている。「いい授業を可能な限り多くの子供たちに」と、4年前に始まった県教委の「指導教員」制度。メンバーは高校の「授業の達人」から選ばれるが、水上さんの出張の半数以上は小学校での授業だ。 総合学習の時間に小学生が英語に触れるのが当たり前の時代だが、水上さんの英語の授業への熱意は、小学校の先生たちを驚かせる。 英語の歌を歌い、英単語を教えるために動物や数字を描いた手作りカードまで準備する。そして、小学生と英語でお遊戯やゲームに取り組む。 「高校も小学校も大切なのは、まず興味を持たせること」という水上さんの言葉がさらに先生たちを引きつける。 「達人」の技を広めるこうした努力は、愛媛県や広島県でも昨年、授業公開、助言者派遣などの形で動き始めた。 教師を評価する試みには、地域も加わる。 川崎市立夢見ヶ崎小では、PTAの役員らが予告なしに授業見学に訪れ、内容を評価する。田島操校長(53)の発案で昨年7月に始まった。チェック項目は「指示が明確で分かりやすいか」「児童が積極的に発言しているか」など20項目で、ABCDの評価を書き込み、校長に提出する。 わが子の学年は対象にしないというのが原則。結果を教師に見せることはないが、「C」や「D」があると、「校長の私自身が授業を見に行き、指導もします。すぐにやらないと、信頼されません」 授業見学はこの半年余りで、全学級がそれぞれ6、7回は受け入れてきた。評価はむしろ厳しくなっているが、田島校長の表情は明るい。「保護者の目が肥えたのでしょう。教師はさらに鍛えられる」 教師の力量が問われている。家庭の教育力が低下し、社会も変化した。だからこそ、学力低下、学級崩壊といった課題と向き合う先生に期待がかかる。「教師力」を磨き、鍛える現場をリポートしたい。 「授業の達人」任命の試み “名人”や“達人”の授業を公開するなどして、他の教師の資質向上につなげる試みが始まっている。教師の励みにしてもらおうと、力量のある人を表彰したり、給与面で優遇したりする制度も全国に広がる。ただ、制度化を巡って、学校現場と教育委員会の間では様々な議論もある。 優れた実践者の技を広げたい 愛媛、宮崎などで 「中堅の優秀な人を教頭にしてしまう現状は、優れた教師を子供から奪ってしまっている。優れた実践家を教室に残したい」 給与を校長や教頭並みにする「スーパーティーチャー」制度を検討している宮崎県教委教職員課の担当者が狙いを語る。指導力の高い教師に、管理職にならなくても、尊敬される称号と待遇を与える考えだ。2006年度をめどに、校長級の「スーパーティーチャー1」と、教頭級の「2」の2種類作る予定でいる。 しかし、校長会には異論もある。 「校長は学校の全責任を問われるが、スーパーティーチャーは子供の成績が下がったら、責任を問われたり、降格したりするのか」 3月まで県校長会長だった黒木康雄・前宮崎市立西池小校長が疑問を投げかける。「教員に向上心を持たせるカンフル剤としては分かるが、期間限定の任命の方がいい」 達人の授業技術を披露する試みは、すでに複数の自治体で行われている。 愛媛県教委は昨年度、小学校から高校までの計5人を、初めて「えひめ授業の鉄人」に選んだ。今年2月下旬には、「鉄人ウイーク」と称して、それぞれが勤務する学校で授業を公開。多くの見学者を集めた。 広島県教委も昨年度、県立高校の教師の中から5人を初めて「エキスパート教員」に選出。所属校以外の学校の研究発表会などに出向いて助言役を務めた。さらに、同県では先月30日、小中学校にも対象を広げた新年度の「エキスパート」15人を発表した。 このほか、岐阜県教委では4年前から、県立高校の指導力が高い教師を、他校に派遣し、優れた授業を披露してもらっている。 文部科学省の調査によると、昨年4月の時点で、全国60の都道府県政令市のうち29教委が、教師の表彰制度を持ち、7教委が給与でも優遇していた。 従来の表彰制度は、全国優勝した部活動の顧問や、研究大会で事務局を務めるなどの功績、永年勤続などが主な対象。優れた授業は、むしろ表彰対象になりにくかった。 表彰、給与で優遇に異論も 1986年にできた表彰制度に「優れた教員」の規定を持ちながら、「細かい基準を作らなかったので、一度も表彰者が出なかった」(島根県教委)といった例もある。 しかし、文科省が研究委託の形で制度導入を促した結果、授業力など実践的な力も加えた制度が増え始めた。読売新聞の全国調査では、2004年度、新たに岩手県と仙台、北九州市で新制度を開始。05年度には茨城、兵庫両県でも始める。 ただ、教師へのアンケートの結果、優秀な教師への表彰制度の新設を見送った秋田県のような自治体もある。2003年度に小中高校の約3400人に聞いたところ、「不必要」が66・4%にのぼったからだ。「必要」はわずか6・1%だった。 「表彰を受けるために働いているのではない」「優秀と優秀でない教師を分ける必要はない」などが反対の理由。県教委は「これだけ必要ないというものを、作ることはない」(総務課)とする。ただ、表彰色を薄めた「専門官」の名で、今年度、指導的立場の教師を3人認定することにしている。 ■「ニセ科学」どう向き合う 物理学会、3月にシンポ(2006.1.5朝日新聞) 日本物理学会(約1万8千人)が3月に松山市の愛媛大で開く学会で、「ニセ科学」について議論する。これまでは「相手にしない」姿勢だったが、「社会的な影響は無視できない」として、シンポジウムを開いてどう対応すべきか考える。研究者が集まる学会の場でニセ科学がとりあげられるのは珍しい。 シンポを企画した田崎晴明・学習院大教授(統計物理学)によると、最近のニセ科学は「科学らしさ」を装っている場合が多く、オカルトや心霊現象にはだまされない人でも、「科学」として信じてしまう場合が少なくない。ニセ科学に詳しい菊池誠・大阪大教授(同)によると、「水に優しい言葉をかけると美しい結晶ができる」などとする珍説が、小学校の授業で紹介されている。 シンポは学会最終日の3月30日に開催。「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」をテーマに、根拠がはっきりしない「健康にいい水」などの実例を紹介し、それらを生み出した社会的要因を考える。 日本物理学会の佐藤勝彦会長(東京大教授)は「ニセ科学を批判し、社会に科学的な考え方を広めるのは学会の重要な任務の一つだ」と話す。 ■2005年教育問題を振り返る(2005.12.28読売新聞) ■ゆとり見直し 「総合的な学習の時間や選択教科を含め、もう一度検討し直す必要がある」 「ゆとり教育」の見直しは、中山文部科学相(当時)が1月、記者団に語ったこの一言から大きく動き出した。昨年末に公表された国際学力調査の結果では、子どもたちの学力低下が判明しており、中山文科相は翌2月、中央教育審議会に、授業時間の拡大や土曜・長期休暇の活用法などの「学力向上策」を審議するよう要請した。中教審の議論は今も続いている。 文科省が6月に公表した「義務教育に関する意識調査」では、焦点の「総合的な学習の時間」について、中学校教師の約6割が「なくした方がよい」と回答。一方、小学校教師は肯定派が否定派を上回るなど、現場の声も分かれた。 ■学力・教科書 文科省が4月に発表した全国一斉学力テスト(教育課程実施状況調査)の結果からは、学力改善の兆しもうかがえた。「ゆとり教育」のもとで学んだ小中学生の学習到達度を測る初の調査だったが、2002年の前回調査と同じ問題では、約4割で正答率が上回った。ただ、国語の記述式問題の正答率が低いなど、国際学力調査で指摘された弱点は克服されず、課題も残った。 来春から中学校で使われる教科書の検定では、学習指導要領の範囲を超えた「発展的記述」が高校用と小学校用に続いて登場。学力低下に配慮し、数学の「解の公式」や理科の「元素周期表」なども復活した。 ■教 師 「教師の質」の向上を目指す二つの新制度は、骨格がほぼ固まった。 教員養成を目的とする専門職大学院は名称が「教職大学院」に決まり、教員の4割以上には校長経験者らの実務家をあてることになった。 一方、終身有効の教員免許に期限を設ける「教員免許更新制」は、有効期限を10年とし、期限内に講習を受ける内容になったが、更新制を現職教員にも適用できるかどうかについては、結論が先送りされた。 ■事 件 11月〜12月にかけては、広島県と栃木県で、小1女児が相次いで殺害されるという事件が起きた。いずれも下校途中を狙われたため、通学路の安全確保が大きな課題として浮上。各地で集団下校や警察官による巡回などが行われ、政府も対策の協議を開始している。 12月にはこのほか、京都府の学習塾で、小6女児がアルバイト講師に刺殺される事件もあった。 一方、2月には大阪府寝屋川市の市立小に包丁を持った卒業生の少年が侵入、教職員3人を殺傷する事件があり、校内の危機管理についても改めて見直しを迫られた。 ■大 学 国立大の授業料に、初めて格差が生まれた。年間授業料の目安になる「標準額」が今春、52万800円から1万5000円引き上げられ、多くの大学がこれにならったが、据え置きや値上げ幅を抑制した大学も登場。少子化で大学間競争が激化するなか、法人化に伴い、横並び意識からの脱却が進んできたことがうかがえた。 1月の大学入試センター試験の「国語1」では、高校の現代文の教科書に掲載されていた文章がそのまま出題されるという前代未聞のミスもあった。 ■公立小中高の教員採用試験 競争率、5年連続減(2005.12.18産経新聞) 平成十六年度に実施された公立小中高などの教員採用試験の競争率は七・六倍で、前年度を0・3ポイント下回り五年連続低下したことが文部科学省のまとめで分かった。 競争率は小学校が前年度比0・3ポイント減の四・五倍、中学が0・1ポイント減の一一・七倍、高校が0・1ポイント減の一四・〇倍。採用者に占める女性の割合は1・5ポイント増の57・8%で、過去最高となった。 受験者総数は2・5%増の十六万四千三百九十三人で、採用者数は6・4%増の二万千六百六人。採用者数の増加が受験者数の増加を上回っており、競争率は十二年度の一三・三倍をピークに低下傾向が続いている。 文科省は「定年退職者の増加や児童生徒数の減少幅の緩和で採用数が増えている」としている。 都道府県別では高知県が二五・一倍と最も狭き門。競争率が低いのは千葉四・二倍、東京四・四倍、滋賀四・九倍などだった。 ■指導力不足、問題教員の給与 19道府県「一律優遇」 文科省調査(2005.12.18産経新聞) 指導力不足教員などの「問題教員」と認定されながら、給与の昇給見送りや延期などの措置を全く取っていない地方自治体が、計十九道府県に上ることが、文部科学省の調査で十七日、分かった。教員給与をめぐっては日教組が長年、能力主義、成績主義の導入に反対し各地で激しい闘争を展開。日教組の影響力が下がり、衰微傾向にあえぐ今でも、勤務成績とは無関係に一律優遇される実態が各自治体では根強く残っており、文科省は教員給与の抜本改革に着手する方針だ。 指導力不足などと認定されながら、教員給与に何のペナルティーも科していないのは、新潟や群馬、愛知、岡山県など十九道府県で全体の40・4%を占めた。この中には給与支給の基礎資料となる教員評価「勤務評定計画」を策定していなかった北海道、福岡、沖縄の三道県のほか、広島や大分県など日教組傘下の組合が強固な県も含まれていた。 年に一度の割合で行われる定期昇給について、指導力不足教員は昇給の対象から外すとしたのは福島や石川県などわずか八県。昇給を延期するのも茨城県、東京都など九都県にとどまり、青森や岩手県、京都など三十道府県は指導力不足と認定されてもそうではない教員と同様の扱いが可能となっていた。 ボーナス(勤勉手当)の算出時の成績率の引き下げを明記しているのは千葉県や滋賀県など十六県のみ。東京都や神奈川県、京都府など三十一都道府県では指導力不足教員に認定されても認定前と同じ取り扱いが可能となっていた。勤務成績が特に優秀な教員を選抜して昇給する「特別昇給」でも指導力不足教員を対象外としたのは二十都府県にとどまった。 教員給与をめぐっては優秀な人材を教職員として確保できるよう定めた「人材確保法」に基づき、教員給与を一般公務員より高く設定する措置が取られているが、実態は一律に全員が優遇される運用が続けられている。これらは「勤務成績をつけ、給与待遇に違いを設けることは教員同士や学校に差別を持ち込むことになる」などと主張してきた日教組が全国各地でさまざまな反対闘争を続けた結果、給与処遇に差異を設けることにいまなお都道府県教委が躊躇(ちゅうちょ)している実態が浮き彫りとなっている。 文科省は「指導力不足教員でも給与が全くこれまでと変わらないのでは、国民の理解は得られないだろう。人材確保法の趣旨に照らしても優秀な教員がちゃんと優遇され、給与制度にメリハリをつけるよう抜本改革する必要がある」として給与制度を見直す方針を固めた。調査研究組織を発足させ、平成十八年度中に結論を出し二十年春にも制度改正を図りたい考えだ。 【(1)指導力不足教員に給与上、何のペナルティーもない】=19道府県 北海道、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、埼玉県、新潟県、福井県、長野県、静岡県、愛知県、大阪府、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、福岡県、大分県、沖縄県 【(2)指導力不足教員も定期昇給可能】=30道府県 (1)の19道府県と、青森県、岩手県、宮城県、岐阜県、三重県、京都府、山口県、徳島県、高知県、香川県、山梨県 【(3)ボーナスの成績率が指導力不足教員でも変わらない】=31都道府県 (1)の19道府県と、青森県、福島県、茨城県、東京都、神奈川県、山梨県、岐阜県、三重県、京都府、山口県、徳島県、熊本県 ■教育分権:学校と自治体が試される 真夏の授業(2005.12.16毎日新聞) ◇「理想」揺れ、現場動く この夏、佐賀市郊外の小学校に学校関係者の注目が集まった。市立兵庫小(江口美好校長、682人)。市内の小学校(当時19校)でたった1校だけ夏休みを1週間も短縮した。全国的にもほとんど例がなかった。 8月25日。 日焼けした級友が顔をそろえた。6年の野下恭佑(きょうすけ)君(12)と福井あゆりさん(12)は宿題を提出した。恭佑君が家を出る時、中2の兄はまだ眠っていた。 「あと1週間あれば親せきの家に行ったり、本も読めた」。恭佑君が率直に言う。「でも秋から学校の時間がゆっくりした感じ」 同校の特色は、学校行事などを児童が企画し運営することだ。春の運動会は種目も時間配分も考えた。10月の長崎の修学旅行の観光や食事先も決めた。準備には主に総合学習の時間を充てたが、夢中になった子どもたちは休み時間もつぶしてしまう。あゆりさんは振り返る。「2学期が早く始まらないと、準備しきれなかったかも」 大幅短縮を決断したのは、前校長の田口良之さん(61)だった。校内の施設を自ら修繕し、校長室を開放する名物校長として知られていた。学校週5日制の完全実施後、子どもたちは勉強や自主運営の準備に忙しく、家庭訪問や朝会の時間を短縮した。田口さんには「時間ぎちぎち」で、余裕がないように見えた。 一昨年、長期休みについて、市教委が認めれば小中学校長が決められるようになった。学校現場に権限を移譲することが目的だった。「夏休みを短くします」。田口さんは即座に決めた。「1校だけの導入はどうか」との声もあったが確信があった。 「自ら考える子どものエネルギーは、教師も学校も変える。達成感と授業を両立し、学校本来の時間を取り戻したかった」。暑さ対策で全教室に扇風機が2台設けられ、屋上に断熱塗料も塗られた。総事業費536万円は市費。校長の判断を行政が支えた。授業時間は年約20時間増えた。 12月の第1土曜、東京都台東区立蔵前小学校(湯地和夫校長)の土曜スクール。3年生の算数で小宮山桃子ちゃん(8)が色ブロックのロケットを完成させた。細谷洋樹君(9)が割り算を解く。2人は「計算がここで好きになった」。 蔵前は下町の商業地域。自営業者が軒を連ね、桃子ちゃんの両親も美容師として働く。母親(45)は「土曜の学校で安心」。子どもの安全が問われるいま、「土曜日」は地域の要望でもある。 学校教育法施行規則は土曜日を休業と定め、教員は教壇に立てない。しかし、台東区の区立小中校では春から原則教員が教える。都教委が教員の土曜補講も試行的に勤務とみなし、休業を夏休みに振り替えるのを認めた。同校の藤沢隆恵教諭(45)は「授業でなく参加は強制できない。参加の工夫が課題」ともらす。 ゆとり教育の柱とされた学校5日制。だが、群馬県の6割の小中学校が長期休みを短縮するなど代替措置が広がる。文部科学省の掲げた理想が、地域、学校現場で揺らいでいる。 ■小学生の塾費用16%増加 学力低下の不安から(2005.12.15朝日新聞) 04年度に小学生1人にかかった学習塾や家庭教師などの経費は、前回(02年度)に比べ16.4%増の平均9万6621円にのぼったことが、15日に文部科学省が公表した「子どもの学習費調査」でわかった。「ゆとり教育」を軸とするいまの学習指導要領が導入された02年度からこの費目は増加に転じており、学力低下への不安が塾通いを加速させている様子がうかがえる。 調査は、隔年で実施しており、全国の公私立の幼稚園から高校まで950校、2万1600人を抽出して実施した。 年間の学習費総額を学校種ごとに見ると、 公立幼稚園23万8178円(前回比2.2%増) 私立同50万9419円(同1.9%減) 公立小31万4161円(同7.5%増) 公立中46万8773円(同7.2%増) 私立中127万4768円(同3.5%増) 公立高51万6331円(同2.2%減) 私立高103万4689円(同0.4%増) となっている。 最も伸びが高かった公立小は、塾経費や参考書代などを合わせた「補助学習費」が総額を押し上げている。補助学習費は調査を始めた94年度以降、00年度まで4回連続で減り続けたが、02年度は2.7%増に転じていた。公立中は23万4658円で、前回比で7.0%増だった。 このうち、学習塾費だけを取り出すと04年度に1円でも支払った公立小の保護者は全体の41.3%(同2.3ポイント増)にのぼった。 ■教員は2万3千人減に 公務員総人件費改革、文科省試算(2005.12.15朝日新聞) 国と地方の公務員の総人件費改革で、政府の経済財政諮問会議が示した原案通りに削減を実行した場合、教職員が5年間で約2万3000人減らされるとの試算を15日、文部科学省がまとめた。1学級40人で算定した定数に上積みして全国に配置されている教員約5万4千人が半減する計算になり、広がりを見せる少人数・習熟度別指導などの取り組みも事実上困難になる。 諮問会議は11月14日の基本指針で、教職員について「(少子化による)児童・生徒の減少に伴う自然減を上回る純減を確保する」とした。 地方公務員は5年間で4.6%の純減を目指すとしている。05年度時点で、公立の小学校から高校までの教職員数は約98万3千人で、この4.6%は約4万5000人になる。子どもの数が減って定数そのものが約2万2000人少なくなる自然減分を差し引いても、約2万3000人を削減する必要に迫られる。 北海道など13道県は、子どもの数の減少により、義務教育標準法に基づく必要な教員定数そのものが減るため、その自然減分だけで4.6%の削減を達成できる見込みだが、ほかの34都府県は実際に教職員を減らす「純減」を図ることになる。 文科省は、来年度から5年間で教職員1万5000人を増やす第8次定数改善計画をスタートさせ、定数を上回る教員配置(加配)を充実させることによって少人数指導や不登校対策、軽度発達障害児への対応など、ますます複雑化する学校現場の問題に手を打つ構想だった。 しかし、約308万人の地方公務員全体の3分の1を教職員が占める中で、中馬行革担当相や財務省は「教職員も聖域ではない」との姿勢を示しており、「定数改善」どころか現状維持すら厳しい情勢だ。 ■精神性疾患:休職の公立校教員は過去最多 10年で3倍に(2005.12.15毎日新聞) 精神性疾患で04年度に病気休職した公立の小中高校、盲・ろう・養護学校の教員は、前年度から365人増えて3559人となり過去最多を更新したことが、文部科学省の調査で分かった。12年連続の増加で、10年前の94年度(1188人)の3倍に当たる。懲戒処分を受けた教員は1226人で前年度から133人減ったが、4年連続で1000人台となった。免職者総数も204人(懲戒165人、諭旨14人、分限25人)で2年連続で200人を超えた。 調査によると、休職者全体の病気休職者の割合は、96.7%を占める。そのうち精神性疾患の割合は過去最高の56.4%に上った。精神性疾患による休職者の増加傾向について、文科省初等中等教育企画課は「学級崩壊や発達障害の子供の増加などの変化についていけないなどの指摘がある」と言う。 病気休職を含め、心身の故障などで適格性を欠く場合などに行われる分限処分は、前年度から249人増えて6553人。そのうち、免職は指導力不足11人▽適格性欠如10人▽心身の故障4人の計25人(6人増)で過去最多だった。 免職を除く懲戒処分の内訳は、停職180人▽減給294人▽戒告587人。体罰は前年度より30人少ない143人で、免職はなく停職は20人。わいせつ行為やセクシュアル・ハラスメントは14人少ない141人で、免職95人▽停職31人▽減給10人など。諭旨免職の11人や訓告などを合わせると計168人に上った。 ■島根県の学力向上プロジェクトまとまる(2005.12.10山陰中央新報) 島根県教委は九日、来年度から取り組む児童・生徒の学力向上プロジェクトの概要案を発表した。全県学力調査や成果の上がる指導方法の普及、教員研修の強化を打ち出しており、小中高校が一体となった対策に乗り出す。 小学校中学年以上から中学校までの全児童・生徒を対象にした学力調査を、民間業者のテストを使って来年五月に実施。夏には結果説明会を開催する。全国比較を行い、個別指導用に「個人カルテ」も作成する。 結果を踏まえ、成果のある学校の取り組みや講師を招いた県外の先進事例を発表、研究するフォーラムを開催。さらに指導事例集を全小中高校へ配布して指導システムの改善と強化を目指し、ノウハウを共有する。 教員の指導力の向上策では、十一年目以降の中堅を対象にした教科別のスキルアップ研修を計画。進路部長など各学校で数人を選抜したセミナーの開催、大手予備校が主催する研修への派遣も実施する。 概要案は、大手予備校の昨年度調査で、島根のセンター試験の平均点が全国四十五位だったことに危機感を抱いた県教委がプロジェクトチームを発足させてまとめた。来年度予算で九千三百万円を要求している。 ■教員免許の更新制導入など提言 中央教育審議会中間報告(2005.12.5朝日新聞) 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)は5日、教員養成をめぐって今後の教員免許のあり方に関する中間報告をまとめた。大きな柱として、教員免許更新制の導入と、教員養成のための専門職大学院「教職大学院」の創設を提言した。更新制については、当初の論議では現職教員に適用しないとしていたが、「さらに検討が必要」と含みを持たせた。 子供とうまく接することができず、きちんと授業ができない指導力不足教員が年々増加するなど、教師への信頼回復が課題となっていることを背景に審議が進められてきた。 中間報告は、教員免許については有効期限を10年に区切り、所定の講習を受けないと更新されない制度にすることが適当だとしている。講習は、更新期限の1〜2年前に、計20〜30時間程度の受講を義務づける方向だ。 現職教員については、現行法のもとで免許を取った者に適用することは難しいとの見方が強まっていたが、保護者らの要望を踏まえ、法制度上の可能性を探る。 また、児童へのわいせつ行為などが原因で分限免職処分を受けた者が教壇に戻ることがないよう、免許状の取り上げについても検討すべきだとした。 一方、免許状を授与する仕組みについても改革を提言した。 まず、大学の教職課程については「教員として必要な資質能力を確実に身につけさせる」ことが必要と指摘。実践的な力を習得させるため、演習を中心とした「教職実践演習」を必修科目として新設すべきだとした。 また、教職大学院については、学部の卒業生のほか、学校での中核的な役割を担えるよう現職教員も受け入れて高度な専門性を身につけてもらうことにする。修了者に対しては専修免許状を与える方向だ。 ■社会人の大学院、きょう設置認可(2005.12.5) 教員免許を持つ社会人を対象に中学・高校の教員を育成する初の専門職大学院「日本教育大学院大学」に五日、文部科学省から設置認可が出る。来春、東京都千代田区二番町に開校する。 学習塾を展開する栄光(さいたま市)が運営し、学長には藤永保お茶の水大名誉教授が就任する予定。入学者は、教員一種免許を持ち教職以外の正規雇用を一年以上経験した人に限定する。 栄光は「指導技能だけでなく、採用後数年で学校運営に携わることができる人材育成を目指す。卒業後に就職できなかったら学費を全額返還する」としている。 ■脳科学、学校での指導でも役に立つ? 埼玉県のとある学校では、脳科学の知識を学校現場に取り入れる試みを続けている。ゲームやテレビの時間を減らし、早寝早起きを提唱したり、読書、脳波測定などを実施。 開始から約二年が過ぎたが、不登校児がゼロとなったほか欠席者も減り、目に見えて効果が表れ始めているという。 ■テンポいい授業を 本の出版相次ぐ 脳科学を教科の指導にも生かそうという本の出版が相次いでいる。 『「脳科学の知見」に基づく算数科授業の進め方』など三冊の編著者である兵庫県淡路市立育波小の柏木英樹教諭は「そのためには一時間に一問を考えさせる算数の問題解決学習ではなく、教科書をテンポよくリズムよく教えることが必要だ」と話す。 ■「3歳児神話」に根拠あり 乳幼児期に母性大切 文科省検討委が報告書(2005.11.28) 脳科学は伝統的な子育ての正しさも証明している。「キレる」子供たちを脳科学の観点から研究してきた文部科学省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」(座長・有馬朗人元文相)は先月、「三歳までは母の手で」に根拠があるとする報告書を発表した。 「子供は三歳くらいまでは家庭で母親の手で育てなければ、その後の成長に悪影響を及ぼす」という考え方を、一部学者やフェミニストは、女性を家庭に縛る「三歳児神話」と呼んでいる。 平成十年版「厚生白書」は「三歳児神話」について「合理的根拠はない」と記述。厚生労働省はその後の国会答弁で軌道修正したが、「三歳児神話」の否定は高校の家庭科教科書に記述されるなど、ジェンダーフリーとともに行政に浸透してきた。 しかし検討会の報告書は「適切な情動の発達については、三歳くらいまでに母親をはじめとした家族からの愛情を受け、安定した情緒を育て、その上に発展させていくことが望ましいと思われる」と、乳幼児期の母性の大切さを強調した。 検討会委員で脳科学者の沢口俊之北海道大教授は著書『幼児教育と脳』で「少なくとも生後八歳くらいまでは、母親は家にいること! そして適切で豊かな愛情を注ぎ続けてほしい」とまで述べている。 ■山形の教育:「外部評価必要」の指摘も 少人数教育で全国研究会(2005.11.19) 「全国少人数教育研究会in山形」(県教委主催)が18日、米沢市内を会場に開かれ、少人数教育の在り方などについて協議を深めた。同市丸の内1の「伝国の杜」であったパネルディスカッションでは、少人数教育を実施している学校関係者が成果などを披露。課題として第三者機関による評価の必要性なども指摘された。 研究会には全国の教師ら約250人が参加。午前中は少人数教育を取り入れている米沢市立西部小学校と同第一中学校の公開授業を見学し、その後、七つの分科会に分かれて指導方法などを協議した。 午後は「少人数教育の“これから”を考える」と題してパネルディスカッション。西部小の戎谷宏校長や天童市立第一中の武田純成校長が「子供に落ち着きが出てきた」などと成果を報告した。お茶の水女子大の耳塚寛明教授は「これからは本格的な学校評価の時代になる。人数を少なくするだけではだめで、どういう指導法を選び、実行するかが重要だ」と話し、外部による検証の必要性を説いた。 ■安いはずの国立大学の入学金が私立を上回る(2005.11.16) 国立大で入学料や授業料の値上げが続いた結果、入学料では国立大の方が私立大より高い“逆転現象”が起きている。充実した施設とともに、国立大の売りだった「安さ」。各大学は「これ以上学生の負担を増やすことがないように」と、国の予算編成を前にさらなる値上げを警戒している。 長崎市で七日、開かれた国立大学協会(国大協)の総会。会長の相沢益男東京工業大学長は「入学料の値上げは断固反対だ」と発言した。今春に授業料の基準となる「標準額」が一万五千円引き上げられたため、「次は入学料」という警戒感を国大協として表した。 授業料や入学料の値上げは「私立大との格差是正」が理由にされてきた。授業料は昭和五十年度には、国立大三万六千円、私立大約十八万二千七百円(平均)と格差は五倍以上だったが、平成十六年度は国立五十二万八百円、私立八十一万七千九百円と一・六倍に縮小。 入学料は五十年度に国立大五万円、私立大九万五千六百円だったが、少子化をにらんで私立大の一部が学生集めのため引き下げたことなどから平成十六年度に逆転、国立二十八万二千円、私立二十七万九千八百円となった。 ■全国学力テスト:07年度以降、毎年実施 文部科学省(2005.11.16) 文部科学省は16日、07年度からの導入を目指している全国学力テストについて、「継続してやっていくことが必要」として同年度以降、毎年実施していく考えを明らかにした。学力テストが実施されれば約40年ぶりになる。 同省によると、学力テストは児童、生徒の全国的な学習到達度・理解度を把握、検証し、教育指導の改善と充実を図ることなどを狙いとしている。小学6年生、中学3年生の全員を対象に国語と算数(数学)について、07年度に全国一斉で実施する方針だ。しかし、学校の序列化や過度の競争につながるとの懸念も出ている。 16日には、過度な競争を防ぐ手立てや、問題作成の基本的な考え方、調査結果の公表方法などを検討する同省の専門家検討会議(座長・梶田叡一兵庫教育大学長)が初会合を開いた。年度末をめどに報告をまとめる予定だ。全国学力テストは56〜66年度に実施されたが、競争の過熱などで廃止された。 ■部活動問題を考える 顧問教諭の負担軽減し外部人材を(2005.11.14) 東京都教育委員会は10月27日、昨年10月に設置して1年がかりで検討してきた「部活動基本問題検討委員会報告書」をまとめ、「部活動がわが国固有の学校文化として定着・発展し、人間形成や健全育成に貢献してきた」と評価しながらも、次のような問題点を指摘している。 「教育委員会の教育目標や教育方針に、学校における部活動振興を明示する」「外部指導者の導入を促進し、指導面の充実を図る」「部活動指導に係る教職員の勤務の取り扱いについて検討する」「教諭以外の学校職員に顧問を拡大することを検討する」「地域スポーツクラブ・文化クラブとの連携を実践的に推進する」などがある。 部活動の“争点”は、 (1)学校教育内に留めて顧問教諭を中心に指導するか (2)学校内に留めておくが、外部指導者を顧問に委嘱して指導するか (3)学校教育から切り離して、社会体育に移行させるか ――の3つのケースが考えられるが、この報告書では、(1)と(2)の充実策が示されている。 部活動の問題は、11月7日の中教審教育課程部会でもとりあげられ、学校現場の経験がある委員からは、「生徒が大会に出かけるときは、必ず顧問教諭も同伴しなければ認められない。こんな矛盾した制度ならば、社会体育に移行したほうがよい」との意見や、現場経験のない委員からも「体育関係の部活動がいじめの温床になっていると聞いている」などの意見があった。 部活動の問題は、生徒への影響が大きいだけに、慎重に扱う必要はあるが、現時点では、学校教育にきちんと位置づけながらも、顧問教諭の負担を大幅に減らし、クラブ指導者などの外部人材を積極的に導入するシステムを考えることが妥当なのではないか。ただ、将来は社会体育への移行も考慮する必要はある。 ■生徒指導に寛容ダメ 文科省 米で成果、導入検討へ(2005.11.13) 米国で麻薬や銃、暴力が蔓延(まんえん)した学校の再生に効果をあげたとされる生徒指導方針「ゼロトレランス(毅然(きぜん)とした対応)」について、文部科学省は、日本の教育現場への応用の可能性を探るため、専門家による調査研究会議を設置する方針を決めた。 「ゼロトレランス」は直訳すると「寛容さゼロ」の意味。一九九七年、クリントン大統領(当時)が全米に呼びかけ浸透させた。学校が明確な罰則規定を定めた行動規範を生徒・保護者に示し、破った生徒にはただちに責任を取らせる。それまで教育現場で支配的だった、生徒の事情をよく聴き、生徒理解に重点を置いて指導する「ガイダンス」と呼ばれる手法とは一線を画し、絶対に許容しない厳格さで臨む。 罰則は「教室から出す」「居残りや専用教室に入れる」「親を呼び出す」「校長が指導する」「停学や家庭謹慎」と段階的に重くなる。麻薬や非行、暴力行為などの場合は直ちに矯正する「オルタナティブスクール(代替校)」に転校させ、反省して立ち直れば元の学校に戻す。 規律を失った一部の学校では、問題生徒の傍若無人な行動に対処できない教師が、ますます生徒の信頼を失い、学校運営が難しくなる悪循環に陥る傾向がある。 文科省ではゼロトレランスについて「日本の学校現場にそのまま導入できるかどうかはともかく、『ぶれない生徒指導』を確立する意味でも参考になるのではないか」と話しており、現在調査研究会議の人選を進めている。 <教心ネット見解> 「ガイダンス」に重点を置いた生徒指導は、昨今の心理学ブームが背景にあり、臨床心理学を中心とした“カウンセリングマインド”が誤解・誤用されたのが原因。また、ゼロトレランスは、いきすぎると「管理教育」と批判された頃の教育に逆戻りする危険性がある。 いずれにせよ、ガイダンス(カウンセリングマインド)・ゼロトレランスの両側面が大切なのであって、どちらが良いという議論は本末転倒。教師の指導スタイルは、TPOに応じて使い分けられる必要があり、「ガイダンスやカウンセリングマインドを柱とした生徒受容型」が基本で、規律の遵守や危機回避に対しては「毅然、厳正なるゼロトレランス型」が適応されるべき。 具体的には、普段の生徒への接し方は、和やかなムードやコーチング(傾聴)といった「ガイダンス」スタイルが大切で、遅刻や持ち物忘れ、規律の遵守や安全確保に対して「ゼロトレランス」スタイルが大切。しかしながら、現場教師にこのようなスタイルの使い分けやトレーニングが浸透しているわけではなく、本報道が現場レベルでは誤解されて浸透するおそれがあり、管理教育への逆戻りが懸念される。 ■都教委が来春開設小中高400人入門(2005.11.10読売新聞) 都教委によると、入門期間は2年。区市町村立小中学校や都立高校の採用5〜10年の教員約5800人のうち、校長などの推薦を受けた計400人が対象。師範は区教委などが推薦した100人の現職で、30代後半〜40代の中堅・ベテランが中心。班は教員が専門とする学科ごとに構成され、国数英などの主要教科はもちろん、音楽、図工、体育の班も作られる。 教育公務員特例法では採用1年目と10年目の教員研修を義務付けているが、都教委はこれに加え今年度から独自に公開授業がメーンとなる2〜4年目研修を実施。来年の道場開設は「教える技術」に特化し、成果を高める狙いがある。 月1回師範の授業を見学するほか、班員同士で授業を参観。師範には話術や板書など職人芸の領域にまで踏み込んで若手を鍛えてもらう。さらに、班員が「生徒役」となる模擬授業や、班員らがメールで指導案を交換し、アドバイスを繰り返す“修業法”も計画されている。 都教委は道場修了後、優秀な修了者を「授業力リーダー」に任命、新人教員らの指導を任せる方針。来年度の予算要求に、班員の交通費などとして約8000万円を計上、毎年度入門者を募る。 ■学力向上七つのカギ 公立小中の底上げ策、研究者調査(朝日新聞2005.11.7) 一人ひとり異なる環境にいる子どもたちの学力格差をどう乗り越えるか。公立学校が抱える根本的な課題に取り組むため、8人の研究者が11の公立小中学校に1年近く通った。そこで見えた学力向上策のカギは七つ。「子どもを荒れさせない」「チーム力を大切にする学校運営」など、学校づくりの原点が並んだ。計算ドリルだけでは学力の底上げはできない。研究者らはそう分析している。 調査したのは、大阪市立大学の鍋島祥郎助教授らで、教育社会学者と教員のグループ。公立学校で、さまざまな家庭の子どもの学力格差をどう乗り越えるかをテーマにした。 昨年2月、大阪府や兵庫、徳島両県の27小学、25中学計52校の協力を得て、国語・算数(数学)の学力調査と、家庭環境などを尋ねるアンケートを実施した。 そして、 (1)基礎がわかっているレベルの点数を決め、それを上回った子の割合(通過率)に注目。その学校で「塾に通っていない」「家にパソコンがない」など、必ずしも教育条件がいいとはいえないグループの子の通過率が、全参加校での通過率を超えている、 (2)その学校全体の平均点が、参加校の平均点を超えている という条件を設けた。 この(1)(2)両方を国語か算数(数学)どちらかの教科で満たした学校を「効果のある学校」と位置づけた。 この「効果のある学校」は、家庭や地域などの影響で、不利になる子どもの学力を伸ばし格差を越える力のある学校のことを指す。欧米でも、70年代以降、学校がもたらす「効果」についての研究が進められている。 今回の調査で、それに当てはまったのは、11小学校と8中学校。そこから3小学校、4中学校を選んだうえ、比較対象として、一般的な他の小中学校各2校も選んだ。 ◇チーム力・実践を重視 研究者らは各学校に約10カ月通い、授業の様子を詳しく観察、数十時間、教職員をインタビューし、「効果のある学校」の共通点を七つにまとめた。 子どもを荒れさせないは、授業が成立する大前提だ。「効果のある学校」は課題のある子に家庭訪問を重ねたり、休憩時間に子どもと過ごしたりしていた。 子どもを力づける集団づくりもあった。「一人ひとりをないがしろにしない」態度を教職員が共有する。グループや班の活動をできるだけ取り入れ、「総合的な学習の時間」の事前学習や校外活動で「自分は必要な人間だ」と実感させようとする学校が目立つ。 チーム力を大切にする学校運営も重要だった。成果を上げている学校は教職員の間に信頼関係がある。一人ひとりの力を引き出そうとし、課題を抱える教員をカバーしつつ、責任をおろそかにしない運営をしていた。 実践志向の積極的な学校文化は、教職員の「まずやってみよう」という雰囲気を意味している。「効果のある学校」は、「動くときは一斉に、ぱっと」という姿勢があった。他校は、アイデアが出ても、「やってもむだ」「負担が増えるだけ」となりがちだった。 家庭などの外部と連携する学校づくりでは、家庭学習を促すのに家庭生活アンケートをしたり、家での学習の手引をつくったりしていた。 基礎学力定着のためのシステム。成果を上げた学校は、学力保障部などの校内組織を置き、「学習意欲の向上」「家庭学習の習慣づくり」といった理念を掲げて少人数分割、習熟度別授業や補充学習など多様な指導を導入していた。 リーダーとリーダーシップの存在も欠かせない。管理職の方針を徹底するというより教務、生徒指導、学年主任が中堅として動き、責任の所在をはっきりさせながら同じ方向に進む「教師集団づくり」を目指していた ◇格差の克服こそ公立の存在理由 今回の調査は関西の学校が対象だが、「七つのカギはどこの学校にも有効だ」とメンバーの一人の志水宏吉・大阪大教授は語る。 鍋島助教授は「計算ドリルをしていても授業中、子どもたちが立ち歩くなど、木を見て森を見ない学力向上策の学校が目立つ。家庭環境など格差の克服は難しいが、それが公立学校の存在理由だ。原点となる学校づくりの構えを各校がどう深めるかが問われている」と話している。 ●「効果ある学校」は (1)子どもを荒れさせない (2)子どもを力づける集団づくり (3)チーム力を大切にする学校運営 (4)実践志向の積極的な学校文化 (5)外部と連携する学校づくり (6)基礎学力定着のためのシステム (7)リーダーとリーダーシップの存在 ■41道府県が基本給引き下げ 地方公務員、06年度から(産経新聞2005.10.24) 地方公務員の給与改定を求める2005年度の人事委員会勧告が21日、すべての都道府県と政令指定都市で出そろった。共同通信社の集計では、41道府県と北九州市が06年度から、基本給を平均4.8%引き下げる国の給与構造改革に準じて5年前後で段階的に実施するよう勧告した。 基本給に扶養手当など加えた05年度の月給については、全都道府県がマイナス改定を求めた。勧告を受け各都道府県と政令市は条例改正を議会に提案し、実施が決まる。 国、地方を合わせた公務員の総人件費削減は、郵政民営化に続く小泉政権の重要課題の一つで、給与構造改革に対する地方の取り組みが注目されていた。 06年度からの基本給引き下げについては、京都府が5.8%、愛媛県が4.9%と数値を示してマイナス勧告。ほかも「国の勧告に準じる」などとした。地方公務員は国家公務員に比べ、引き下げ率の大きい中高年層の割合が高いため、下げ幅も大きくなるとみられる。 一方、宮城、千葉、東京、新潟、岐阜、愛知の6都県と、北九州市と07年度から実施するとしたさいたま市を除く12政令市は「今後検討」などとして、今回の引き下げを見送った。 国の構造改革に伴い民間賃金の高い都市部に支給される「地域手当」については、国の基準で対象外となっている市町村も含めて「県内一律支給」とするケースもあり、判断が分かれた。 05年度の月給引き下げでは、大半が国に準じて0.3―0.4%のマイナス。和歌山県の1.09%、政令市では大阪市の3.84%の削減が目立つ。期末・勤勉手当(ボーナス)は、山形県と北海道が据え置いたほかは、年間4.4カ月から4.45カ月に引き上げるよう求めた。 ■教員の給料高すぎ? 年金額にも反映、財政審でやり玉に(朝日新聞2005.10.20) 公立小中学校の教員の平均給料が一般の都道府県職員より月額で約4万円、1割程度高い実態が、20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)でやり玉にあがった。給与の優遇が老後の年金額にも反映されており、財政審の委員からは「教員をあまりに優遇しすぎだ」との意見が相次いだ。 財務省によると、一般行政職の平均給与が04年で月35万6679円なのに対し、教員は11%高い39万6712円。手当を加えると、一般職の44万953円に対して、教員は45万9058円と4%上回る。教員の方が平均年齢が0.7歳高く、学歴でも大卒比率が高いなど単純に比較はできないが、それでも差が目立つという。 退職金や年金額も底上げされている。03年度の地方公務員の退職年金の平均月額は22万5032円だが、うち公立学校関係者は24万3777円と1万8000円余り高い。特に校長OBの平均は26万3000円で、「各省庁のトップである事務次官の24万6000円より高い」(財務省)という。 こうした格差が生まれているのは、74年の「人材確保法」で、義務教育の公立学校教職員の給与は一般職より優遇する、とされているためだ。この結果、少子化で児童生徒数が減っているにもかかわらず、義務教育費国庫負担金は2兆円を超えている。財政審は歳出抑制のために人材確保法の廃止を求める方針だ。 ■義務教育費 国負担5割明記へ 中教審案(産経新聞2005.10.19) 義務教育費国庫負担金制度を議論している中央教育審議会の義務教育特別部会が、答申案に「国庫負担率二分の一」を明記する方針を固めたことが十六日、分かった。十七日に首相官邸に説明した上で、十八日の同部会で提示される。 「国庫負担率二分の一」は現行の負担率と同率。負担金の削減と、地方への税源移譲を求めている全国知事会など地方六団体の態度硬化は必至とみられる。 十二日に示されていた答申の素案では「国庫負担制度は維持されるべきだ」としたものの、負担率には触れていなかった。 小中学校の教職員給与は現在、国と都道府県が二分の一ずつ折半している。しかし、地方六団体は昨年八月、地方と国の税負担のあり方をめぐる「三位一体改革」の議論の過程で、平成十八年度までに中学校分の国庫負担金八千五百億円を地方に税源移譲するよう要求していた。 一方、義務教育特別部会では地方六団体の考えに反発する意見が続出。十二日の答申素案では、「中学校にかかわる国庫負担金を対象から外す考え方は、同じ義務教育である小学校と取り扱いを分けることになり、合理性がない」としていた。 今回、現行負担率の維持が明記されることで、関係者の間で「政治決着案」として取りざたされていた、「中学校分の移譲を求める地方案に満額では応じないが、小・中学校合わせた義務教育費の国庫負担率を下げることで八千五百億円を移譲する」という選択肢が事実上消えることになった。 負担率維持が明記されることになった背景には、十二日の義務教育特別部会で、「二分の一明記」を求める意見が相次ぎ、鳥居泰彦部会長も「政治に関係なく中教審は中教審で結論を出す」と判断したことがある。 ■9年制「小中一貫校」…文科省が検討2005.10.18 文部科学省が、公立の小学校と中学校を一本化した9年制の「義務教育学校」の創設を全国で検討していることが18日、明らかになった。 現行の「6・3制」は、今の子の心身の発達に十分に対応できていないという指摘があるためで、実現すれば小学校高学年への「教科担任制」導入や、小・中を通じた継続的な生活指導が可能になる。 中央教育審議会が18日午後の部会に示す義務教育改革の答申案にも「創設の可能性について検討が必要」と明記されており、文科省は今後、中教審に対し改めて具体的な制度づくりなどの議論を要請する方針だ。 文科省が想定している義務教育学校は、小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ「9年一体型」。教師が9年間を通じて児童生徒の発達段階に応じた生活指導を行うほか、現行の小学校高学年段階から教科担任制を導入し、より専門的な立場から教科指導をすることなどを検討している。 設置は全国一律ではなく、各自治体の判断で弾力的に行える制度を目指す。創設が正式決定すれば、学校教育法の改正などに乗り出す方針で、文科省幹部は「少子化に伴う学校統合という副次的な効果も期待できる」と話している。 文科省が今春実施した調査によると、「9年制小中一貫校の創設」は、保護者の30・6%が「賛成」、18・9%が「反対」、39・5%が「どちらとも言えない」という結果が出ている。 ■19年度の学力テスト 自治体、学校にデータ提供提言(産経新聞2005.10.17) 神奈川、宮城、岩手など八県知事と有識者、経済界代表らでつくる「地方分権研究会」は、文部科学省が平成十九年度に実施予定の学力テストについて、自治体の施策立案に生かせるよう個々の児童・生徒のデータを自治体や学校に提供し、結果の公表方法は自治体が判断できるよう求める提言をまとめた。 テストの教科を小学校は理科、社会を加え四教科、中学校は英語も加え五教科とすることなども求めた。 同研究会の岩手、宮城、和歌山、福岡の四県は十六年度から小五、中二を対象に統一学力テストを実施。十七、十八年度も実施する予定だが、文科省が研究会の提言をすべて取り入れた場合は廃止する方向で検討する。 ■百ます計算の陰山英男氏、NPOで教師支援へ2005.10.10 百ます計算などの学力向上実践で知られる陰山英男・広島県尾道市立土堂小学校校長(47)が学力再生に取り組むNPOをつくる。目標は、現場の先生たちの後方支援にあたる教育シンクタンク。来春、立命館大学教授・同小学校副校長に移ることも大学側から発表された。その理由を、陰山さんに聞いた。 著書「本当の学力をつける本」が49万5000部、百ます計算や漢字などの「徹底反復プリント」シリーズが計435万部。読み書き計算や早寝・早起き・朝ご飯の「陰山メソッド」は有名になったが、「放っておけば流行で終わると思う」と、危機感を語る。 「着実に根付かせるには、現場の教師への組織的なサポートが必要。そう考えた結果なんです」 仮称「ニッポン教育再興プロジェクト」の活動の柱を三つ描く。「早寝・早起き・朝ご飯の生活習慣を定着させる」「いい先生の実践を掘り起こし、広める」「ITを教室に入れて授業を活性化する」だ。 生活習慣については、睡眠時間や朝食の有無と子どもの学力や荒れに相関関係がある、との持論がある。学校現場での取り組みとは違い、全国規模での普及は不特定多数の保護者が相手だ。 「まずモデル地区を作って取り組み、そこから全国に広げる。普及についてはこれから日本PTA全国協議会などにも協力を求めるつもりです」 優れた実践の普及については「百ます計算の普及ではない。むしろ逆。自分と違うものを発掘したい」。教員だけの閉じた研究会ではなく、保護者も参加できる場で公開授業を開く考えだ。 IT化は、土堂小ですでに書き順の間違いを自動で指摘する漢字ソフトなどを活用中。「ソフトを使うことで授業の効率が上がり、週5日制の中でも十分な指導時間を確保できる」 臨時委員になった中央教育審議会では、教員評価や教員免許の更新制などが取り上げられている。 「現場の教師には余力がないのに『教育改革は結局、教師改革だ』となっている。NPOの3本柱は一見バラバラだけど、『教師を楽にする』が共通理念です」 来春予定される立命館大学・小学校への移籍については「話せる段階ではない」という。が、年200人の教員を出す同大学側は、研究職として教員養成教育への取り組みと、これまでの実践の「学問」への体系化を期待している。 10日、東京都内でNPOの発起講演会を開く。慶応大学の金子郁容教授らが参加の予定という。 ■新教育の森:「生きる・考える力」も売ります!? 民間が公教育に挑戦(2005.10.10) 受験学力だけでなく「総合学習」や「生きる力」「考える力」も売ります−−。有名私立中学への合格者数を競い合う学習塾が、学力低下批判にさらされ迷走する文部科学省のゆとり教育を尻目に、小学生を野山に連れ出す体験学習や、教科の枠を超えた総合学習に相次ぎ力を入れ始めた。公立学校の「総合的な学習の時間」が教育産業の厳しい挑戦を受けている。【井上英介】 ◆塾で総合学習 宇宙にぽっかり浮かぶ青い地球。その周りを色とりどりの無数の点が厚い雲のように取り巻いている−−スクリーンに映し出された見慣れない写真を前に、講師が問う。「これ何だろう」。子供たちの手が次々に挙がる。「星かなあ」「雲」「地球からの打ち上げ花火だ」。愉快な答えには教室がどっと沸く。「実は、地球の周りを漂う使い終わった人工衛星などのごみなんだ」。講師の種明かしに「えーっ」という驚きの声が上がった。 首都圏で教室展開する「サピックス」(東京都中央区)は今年、環境問題を教える特別講座「エコクラブ」をスタートさせた。講座は1コマ2時間で全5コマ。テーマは▽ごみ▽米づくり▽水▽里山▽まちづくりで、冒頭はごみ問題を学ぶ授業の導入部の場面だ。講師は巧みな話術と100枚前後の写真を駆使し、子供たちを夢中にする。5〜7月に実施した同講座に小学5年生の塾生約1400人が参加した。 各テーマの内容を1冊にまとめた教科書計5冊も塾生に配られた。漫画やイラストがふんだんに盛り込まれ、内容は濃い。「米づくり」では農薬が農作業の省力化と生産量アップに貢献する半面、メダカを絶滅の危機に追い込むなど自然破壊の要因のひとつになった事実が、数値も交え示されている。 「詰め込み、詰め込みと10年ほど夢中でやってきて『これじゃまずい』と思い始めました」。89年、仲間5人とサピックスを設立した吉原文明専務が打ち明ける。「情報の洪水の中で生きる力や自分の頭で考える力が奪われている。教科書や講座は4年間の基礎研究を土台に作り上げた。赤字だが、塾も社会に貢献しなければならない」 ◆思考力を測る 教室を全国に展開する中学受験界の雄「日能研」(横浜市港北区)が6月、「学力・新発見テスト」を初めて実施し、小2〜4年の小学生2万3000人が受けた。 テストは、国算社理の教科学習に基づく「知識を確認する」と、教科の枠を取り払った「考えるチカラをためす」からなる。「考える〜」にはユニークな問題が並ぶ=出題例参照。昨年末、日本の成績が振るわず学力低下論を再燃させた国際学力テスト「学習到達度調査(PISA)」を意識し、推論や表現の力を測ることに重点を置く。 「学力低下批判で迷走する文科省に『本当の考える力とは何か』を教えるために、あえて今このテストをぶつけようという思いもある」。日能研の高木幹夫社長が実施の狙いを語る。 日能研の取り組みはユニークなテストばかりではない。毎年7〜8月、5回に分けて福島県裏磐梯へ小3〜4年の塾生計220人を連れ出す「サマーキャンプ」を実施している。今年で6年目。無人島探検や沢登り、ビバーク体験を通じて仲間との連帯感の大切さを気付かせ、考える力の基礎となる「自己決定力」を高めるのが目的だ。 高木社長が言う。「私は公立学校の総合学習の理念に賛成だ。もっと質を上げていくべきだし、いい意味でわれわれと競い合えばいい」。その口調には、取り組みは公立学校のはるか先を行っており、負けるわけがない−−という自負がにじんでいた。 新学力観は塾先行、文科省も教員も猛省を 学習塾の新たな試みを公立学校の現場はどう受け止めるのか。優れた総合学習の授業で全国に知られる善元幸夫教諭(東京都新宿区立大久保小)に、サピックスや日能研の教材・テストを見てもらい、感想を聞いた。 「民間がここまでやるのか」と驚いている。サピックスの環境問題の「教科書」は面白く、知的好奇心をとても刺激する。学習指導要領の目標を大事にしながら、作り手が世界観を打ち出しているから面白い。学校の教科書が面白くないのは、指導要領で定めた学習内容に限定するという「たが」ががっちりはめられ、作成者の世界観が出せないからだ。 日能研のテストは新しい学力観に基づく試みとして評価できる。サマーキャンプで自己決定力を高めるというのも、極めてまっとうだ。 日本の公教育は長年の知識偏重を脱却できていない。そんな公教育に代わって教育産業の方が新しい学力観にチャレンジしている。新鮮で不思議な驚きといっていい。 ただ、手放しで礼賛するわけにはいかない。彼らはどこまでも子供に寄り添う公教育とは異なり、営利企業だ。受験学力提供と「生きる力」の養成という“両刀遣い”は、生き残りをかけた経営戦略にも見える。 90年代以降「教え」から「学び」への転換を目指す新学力観と、従来の詰め込み式の旧学力観がせめぎ合っている。教育産業の世界でも、新学力観を志向する勢力と旧学力観にしがみつく勢力に二極化しているようだ。 新学力観への引き金を引いた肝心の文部科学省が、旧学力観へ大きく揺り戻されている。民間の後じんを拝する文科省も私たち公立学校の教員も猛省が必要だ。(談) ◆日能研「学力・新発見テスト」の出題例◆ <問い> 答えがみかんになる、なぞなぞをつくってみましょう。なぞなぞを出すあいては、だれでもよいです。 <正解例> あたまが「み」ではじまるオレンジ色のくだものは? <問い> つぎの1〜5の文はある市のようすについてかかれたものです。「1、北町と南町に分かれ、2つの町の間を川がながれている。2、病院、映画館、デパート、駅が1つずつある。3、病院は北町にある。4、映画館は駅前にある。5、デパートと病院は川をはさんで向かい合っている。」 映画館とデパートは、それぞれどちらの町にありますか。ア〜ウからえらびましょう。 ア北町 イ南町 ウどちらともいえない <正解> 映画館=ウ デパート=イ ※一見、選択肢から正解を選ぶ客観テストだが、映画館の場所はどちらの町か特定できない。答えが見つからないという不安定な状況にあえて追い込み、「世の中の問題に必ずしも正解はない」という現実を教える。 毎日新聞 2005年10月10日 東京朝刊 ■ゆとり教育 親6割「見直しを」 内閣府調査(2005.10.7) 小中学校で実施されている「ゆとり教育」に対して、保護者の六割が不満を持ち、見直してほしいと望んでいることが内閣府の規制改革・民間開放推進室が六日公表した「学校制度に関する保護者アンケート」で、わかった。学校教育の内容が「易しい」とする保護者も六割にのぼっている。 アンケート結果によると、「ゆとり教育を見直すべきである」とした保護者は61・6%。「ゆとり教育重視を継続すべきだ」の5%を圧倒した。カリキュラムの元になる学習指導要領に対しても「最低基準性を明確にし、レベルを上げるべきだ」が58・9%で、学校教育の「内容が易しい」とする声は61%だった。学校に「満足」としたのは13%にとどまり、「不満」は43・2%だった。 さらに、教員についての調査でも、「不満」は28・4%と根強く、具体的には「指導力不足」(69・7%)「学習以外の問題に対応してくれない」(51・7%)「責任感の欠如」(48・6%)「学習への対応力不足」(45・8%)など、教員の能力に対する不満が並んだ。また、年功重視で差がつかない教員給与にも「差をつけるべきだ」が65・5%を占めた。 ■学力向上には学校より塾 内閣府が保護者に調査2005.10.6 内閣府が学校制度について保護者にアンケートしたところ、70%が学力向上のためには学校より塾や予備校の方が優れていると感じていることが6日、分かった。学校の方が優れていると答えたのは4%だった。 内閣府によると、アンケートは教員の質向上に向けた議論に役立たせるのが目的。子どもが小中高校に通っている保護者1270人がインターネットを通じて回答した。 アンケート結果によると、塾が優れているとした理由は複数回答で「講師の教え方がうまい」「受験に役立つなど実用的」などが60%超。学校が優れている点は「生徒指導など授業以外の指導もしてくれる」「公平・平等に対応してくれる」が多かった。 ■学力の向上 保護者に積極的な協力を求めよう(教育新聞2005.9.29) 最近、かなり多くの学校で、「学力向上」策の一環として、「家庭・地域との連携」を重視した様々な取り組みの動きが出ている。その背景として、教師自らが「学校だけで『学力向上』に取り組むことに限界がきた」と認めたのであろうか。「学校は勉強の場、しつけは家庭で」という考え方はすでに崩壊したといってもよい。 その論拠と具体例を示した資料として、最近、刊行された教育開発研究所の『学校・家庭・地域がともに進める学校づくり』(共同執筆)が参考になる。 この本の編集責任者である帝京大学の佐藤晴雄助教授は、「なぜ、家庭・地域連携による『学校づくり』なのか」との論文の中で、理論的にそのあり方を指摘している。 それによると、「学力には、(1)学ぶための力(2)学んだ結果という2つの側面がある。学力づくりにおいては、学んだ結果だけにとらわれることなく、学ぶための力にも注目する必要がある。家庭・地域連携は、その2つの側面から学力づくりに資することができる」とした上で、特に、「個に応じた指導の充実、学習意欲の高揚、学習の深化、学習指導の効率化、新しいアイデアの誕生などの点において学力づくりに資する。そして、学校は情報提供・連絡調整、相互補完、協働の各段階で連携ができる」と説明している。 このような考え方で、学校と家庭・地域との連携を進めていく際に、最も大事なことは、学校の教育方針を明確にすることである。 この資料でも、「学校の考えをしっかりと保護者に理解してもらい、学校と同じ考え方で子どもに接してもらうことができるようにする」(栗田稔生大阪教育大学附属平野小学校教諭)、「多様な要望を学校へ向けてくる保護者に対し、学校側の基本姿勢を明確に提示する」(澤村興平帝京大学講師)、「学校の方針を明確に示し、教師による授業を補完するものに限定し、丸投げをしないことに配慮する」(小島宏・財団法人教育調査研究所研究部長)などと指摘している。 具体的な実践例としては、「連絡帳を活用した家庭との連携」(東京都足立区立長門小学校)、「学校サポーターを生かした放課後学習支援室」(東京都杉並区立大宮中学校)などが紹介されているが、この中で注目したいのは、大阪教育大学附属平野小学校の「学校と家庭の連携」を見事に一致させた実践である。 同校は、独特な「家庭学習」を取り入れている。その1つは、「自由ノート」(いわゆる日記)で、1年生の2学期から6年生まで続く。もう1つは、「教科ノート」。3年生の2学期から6年生まで行われるもので、その日に習ったことを自分自身で振り返り、自主学習していく。しかも、「子どもたちが今日1日を振り返って、学習したすべての教科の中から、もう一度学習しておいたほうがよいと判断する教科を選び出し、自分自身で学習内容を決め、自主的に学習する」という仕組みになっている。 ここまで踏み切るには、学校側の明確な教育方針に基づいた教師の粘り強い努力と保護者の理解が必要で、どの学校でも容易に実践できるとはいえないが、その方向性を参考にすることはできよう。 保護者の7割以上が子どもの学力に不安を抱いていたという調査もある。それを克服するには、「子どもの学力は家庭の協力なしには向上しない」との意識をもつことである。 ■[校内暴力]「なぜ『キレる小学生』が増えるのか」(読売新聞2005.9.28) あっさりと一線を越え、暴力に走ってしまう風潮が小学生にまで及んでいるのではないか。学校も家庭も、もっと危機感を持って対処すべき問題だ。 中学、高校での校内暴力が減少傾向にある中で、唯一、小学校だけが発生件数を増やしている。 文部科学省のまとめでは、2004年度、小学校で計1890件の校内暴力があった。03年度から290件増えた。調査を始めた1997年度以来、最悪の記録を2年連続で更新した。 あいさつの指導中、急に教師に殴りかかって足を蹴(け)った(5年男)、ささいなことで同級生とケンカになり、額にひざ蹴りした(6年男)、休み時間に突然不機嫌になり、校舎のガラスを割った(同)――そんな例が報告されている。 特に「対教師」は、03年度より3割も増えた。暴力の矛先が自分たちに向けられ、教師たちも戸惑う。「力で制止しようとすると体罰と受け取られかねず、対処が難しい」と横浜市の校長は言う。 短絡的な動機から、突発的に手や足が出る。文科省は「忍耐力不足、人間関係がうまく作れず、感情のコントロールがきかなくなっている」と分析する。 小学校は担任制のため、教師が問題を一人で抱え込みやすい。学校全体の対応が取られないまま、暴力行為にまで発展してしまう。そうしたことも、理由の一つに同省は挙げる。 ■中高生、親・先生には満足、自分に不満(ベネッセ調査2005.9.26) 中高校生が不満を感じるのは親や先生、友人よりも「自分」。ベネッセ教育研究開発センターの調査でそんな結果が出た。身近な人とはぶつからないよう気を使い、自分には厳しい目を向けるのが、今の思春期の子どもたちのようだ。 調査は昨年末、全国の小学4年〜高校2年の1万4841人にアンケート形式で行われた。 調査結果によると、小中高生ともに「友だちとの関係」には8割前後、「家族との関係」は7〜8割、「先生との関係」は6〜7割が「満足」と答えた。年代による差は小さい。 調査に当たったベネッセの木村治生・教育調査室長によれば、中国・韓国などと国際比較した別の調査では、日本の子どもたちは身近な人間関係に気を使う傾向が著しい。「迷惑をかけ合うところまで踏み込まないから摩擦も起きないのかもしれない」 特に中高生の満足度が上がったのは「先生」で、20年前の同種の調査と比べると10ポイントほど高い。詰め込み教育や体罰の減少を反映しているのではないかという。 一方、自分については、大きくなるにつれて自信を失う傾向がくっきり出た。まず「成績」は、小学生は「満足」が半数以上だが、中学生になると4人に1人に激減する。高校生はさらに2割程度に減る。 これは通塾率との関係で読み解けそうだ。この調査では、塾に通う小学生は4人に1人だが、中学生は2人に1人にはね上がる。小学校は成績評価が厳しくないが、塾に通うと他人との比較で客観的な成績がわかるため、との分析だ。 自分の「性格」についても、小学生は半数近くが肯定的だが、中高校生は3割台に下がる。 木村室長は「成績も自己評価も、親との会話が多い子や親が大人扱いしてくれる子ほど高い傾向がある。親のかかわり方が鍵」と話している。 ■《正論》専門大学院で教員の質低下は止まず(産経新聞2005.9.26) 新たな参入障壁の可能性 中央教育審議会のワーキンググループは、高い専門性を持った教員を養成する専門職大学院の基本構想をまとめ、専門性と実践力を備えた教員を送り出すべく、二〇〇七年四月開校を目指すことを決めた(日本経済新聞二〇〇五年六月七日)。 これに対して、宮内義彦オリックス会長を議長とする政府の規制改革・民間開放推進会議が「新たな参入障壁になりかねない」と「待った」をかけている(朝日新聞二〇〇五年六月二十三日)。 実は、規制改革会議は二〇〇四年十二月にも、緊急提言をまとめ、文部科学省が進める義務教育改革に対し、教員養成大学院の設置構想の再考などを求めている。 緊急提言では、「教員養成のための専門職大学院の制度化を公的に図っていくことは不適当」と述べていた。 規制改革会議の指摘は傾聴に値する。問題の背景は、現在、教員免許法が、教育学部以外の出身者が教員になることを難しくしていることもある。特に二〇〇〇年度から実施された新しい教育職員免許法では、教科専門科目の履修必要単位がそれまでの半分かそれ以下へと削減された。 教科専門科目が削減された代わりに、昔でいう教育原理や教育心理等の教職科目の必修単位が増加され、他学部の学生が教員資格を取ることは、一層難しくなった。 アメリカの教育改革で重要な意味をもつ報告書『危機に立つ国家』(一九八三年)では、「教師養成プログラムは『教育方法』の課程に重点を置きすぎており、学ばねばならない『科目指導』の課程が犠牲になっている」と批判している。それを日本では、今になって、一層進めているのである。 教育学部学生の学力低下 私が戸瀬信之慶応大学教授と共同で一九九八年から二〇〇〇年にかけて行った国立大の教員養成系大学の学生の算数・数学力の調査では、小学校レベルの単純な問題四問を全問正解したのは24%だけであった。教員の卵の学力は年々低下している。 団塊の世代が退職し始めると、たとえ低学力であっても、大量に新規の教員を採用せざるを得ない。それが、生徒のさらなる学力低下を引き起こし、学力はデフレ・スパイラルに落ち込む。新規の教員が教育学部以外から供給されないために、教育学部の学生の学力低下が、教員の学力低下に直結するのである。 だからといって、学生の低い学力を専門職大学院で高めるのは難しい。問題の改善策は、むしろ、適性があれば、他の学部の出身者でも、また社会人でも、教員になりやすくすることである。 規制改革会議の表現を借りると、「教員養成のための専門職大学院の修了者をアプリオリに適切な人材と位置付け、このような大学院の制度化を図ることは、本来適切な資質を持つ者をかえって排除する悪しき参入規制そのものであり、むしろ、こうした制度変更は、中長期的に教員の資質低下につながる懸念が大きいものと言わざるを得ない」のである。 これまでも文科省は、大学院の充実、重点化という掛け声で、大学院入学者数を倍増させたが、大学院生の学力水準は著しく低下し、博士号の価値が無くなってしまった。 私が、戸瀬教授と旧帝大系の大学院生の基礎学力を調査した結果では、大学院生の平均は、各大学の学部生の平均より低く、同時に調査した短大生の平均ともあまり変わらなかった。専門職大学院は、教員の質を向上させることにはならないのである。 再び、規制改革会議の提言から引用しよう。「教員専門職大学院は諸外国にも例がなく、そのような大学院修了者がそうでない者よりも教師として優れているという前提は成り立たない」 ■ 学校自己評価の指針、今年度中に策定へ…文科省方針(2005.9.23) 文部科学省は23日、小中高校が自己評価する際の指針となる「学校評価ガイドライン」(仮称)を今年度中に策定する方針を固め、検討を始めた。 ガイドラインには、授業研究や教育課程、生徒指導などの項目を盛り込む予定だ。年内をめどに素案を公表し、関係者から意見を求める。 学校評価は、学校の教育活動や学校運営の状況について教職員らが自ら点検、評価するもの。2002年から順次、施行された小中高校の設置基準で、各学校は評価と結果の公表に努めるとされた。しかし、設置基準は「適切な項目を設定して行う」とするだけで、評価項目にはばらつきがある。 ■いくつになっても脳刺激 学べば高まる記憶力(産経新聞2005.9.15) いくつになっても勉強すると記憶力が高まるメカニズムを、東京大学大学院の研究チームが突き止め、十五日発行の米科学誌「ニューロン」に発表した。新しいことを学んでいるときに出るシータ波という脳波が刺激となって、脳のなかで記憶をコントロールする役割を持つ海馬で新たな神経細胞(新生ニューロン)が活発に作られるという。 海馬は大脳皮質に記憶を蓄積したり必要な記憶を引き出したりするときの出入り口となる部位で、成人しても神経細胞の元になる神経幹細胞から前駆細胞を経て新生ニューロンが作られる。新生ニューロンが増えると、海馬の神経回路が複雑化して記憶力が高まる仕組み。 研究チームは、マウスの海馬にシータ波を流すと、神経伝達物質のガンマアミノ酪酸(GABA)が前駆細胞に供給され、新生ニューロンへの分化が促進されることを突き止めた |