| ▼算数・数学の勉強を楽しいと思う割合 |
95年から03年の調査では、算数・数学の勉強は楽しいと思う割合は、「強くそう思う」が若干増えているものの、「そう思わない」「まったくそう思わない」割合も増えています。つまり、楽しいと思う子とそう思わない子の二極化が起きているのです。

(TIMSS2003より 縦軸は年)
「希望の職業につくために数学で良い成績をとる」割合は、参加国中、台湾に次いでワースト2位となっています。また、ここ数年の傾向として、「強くそう思う」、「そう思う」という割合は減ってきています。
| 国/地域 |
「希望の職業につくために数学で良い成績をとる」の変化
「強くそう思う」、「そう思う」と答えた生徒の割合 |
| 2003年 |
1999年 |
1995年 |
03年−95年 |
| 国際平均 |
73 |
81 |
77 |
|
| シンガポール |
77 |
86 |
85 |
−8 |
| 韓国 |
56 |
44 |
47 |
9 |
| 台湾 |
46 |
77 |
|
−31 |
| 日本 |
47 |
51 |
55 |
−8 |
| アメリカ |
77 |
81 |
86 |
−9 |
| イギリス |
61 |
77 |
80 |
−19 |
後に述べますが、数学が日常生活でいかに役立っており、職種によっては必要であるということの意味づけが弱いと言えます。総合的な学習の時間などで、数学がいかに役に立ち生きていく上で必要な知識・技能であるかを説いていく必要があるでしょう。
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| ▼数学の授業での問題解決活動 |
数学の授業で問題解決活動をする割合については、日本は参加国中で最低水準となっています。特に、「生徒が数学で学んだことを日常生活に結びつける」割合は、たったの14%しかありません。教科の授業ではもちろんこと総合的な学習の時間でも、数学が日常生活でいかに役に立っているのかを示すことは、これからの教育にとても必要なことでしょう。
| 国/地域 |
生徒が数学で学んだことを日常生活に結びつける |
自分の答えを説明する |
複雑な問題を解くための方法を生徒自身が学ぶ |
| 国際平均 |
50 |
78 |
45 |
| シンガポール |
32 |
48 |
27 |
| 韓国 |
50 |
75 |
52 |
| 香港 |
26 |
60 |
40 |
| 台湾 |
27 |
58 |
24 |
| 日本 |
14 |
44 |
21 |
| アメリカ |
66 |
80 |
62 |
| イギリス |
46 |
75 |
45 |
(TIMMS2003より 対象中学2年 単位%)
しかし、学力上位のシンガポール、韓国、香港が、必ずしも問題解決活動を重視しているというわけではなく、また、アメリカやイギリスなどは国際平均並の問題解決活動を行っている割りには、これらの国が学力調査で上位に来ることはめったにありません。つまり、問題解決活動が即学力の定着に効果がある、というのは早計のようで、きちっとした基礎学力の定着こそが、学力向上に不可欠な要素と言えるでしょう。
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| ▼数学が日常生活で役立つ例 |
(a+b)~2=aa+ab+ba+bbという展開公式の活用例としては、メンデルの遺伝の法則で、Aa×Aa(優勢ヘテロ同士の配合)では、AA、Aa、aA、aaという子の形質遺伝が考えられるときに活用できる。
映像テクニックとして、連続殺人のシーンでは、最初に犯行シーン「a」と最初の被害者「x」の撮影シーンを流し、以後犯行シーン「a」を省略し被害者「y」、「z」のシーンを流すだけで、視聴者に連続殺人をイメージさせることができるのは、展開公式a(x+y+z)を活用した映像テクニックと言えるでしょう。
駅のキップ売り場で見かける「タッチパネル式」の販売機では、タッチされた場所を、コンピュータが横(x軸)と縦(y軸)の2軸で判断しているのは、まさに座標の概念そのものです。
日本人の平均的な貯蓄額はどれくらいかを知りたいときに、日本人の平均貯蓄は(約400万円くらいと言われています)を代表値として選んではいけません。これは統計のマジックと呼ばれていて、1億円や10億円など極端な数値が統計の中に含まれていると、それだけで平均値はとてもぶれたものとなってしまいます(平均値が跳ね上げられてしまう)。こうした場合は、最頻値(最も貯蓄額が多い金額帯)を選ぶのが適切なのです。こうした統計の知識は、日常生活で必要な知識そのものです。
また、大学や職場などの限られた場面の例となりますが、進学、就職したときに役立つ例として、大工は木材を1/3、14/に切断する場合に、分数の概念が必要になります。旋盤工は中心に穴をあけるときに「重心」の概念が必要となります。大学で、心理学、社会学、経済学を専攻する場合は、統計データ処理などで、関数、線形代数、統計などの数学的な知識が必要になります。
教育学者の藤田英典氏は著書教育改革(岩波新書) で、アメリカのハンバーガーショップ体験として、ベーコンチーズバーガー(1ドル59セント)とスモールサラダバーとコーヒーを注文したところ、全部で「1ドル39セント」と言われ、店員に「(全部で)3ドル9セントじゃないの?」「ベーコンチーズバガーだけでも1ドル59セントもするのに、サラダバーとコーヒーも注文してそれより安いのか?」と聞き返しても、「機械がそう言っている(machine
says so.)」と言うだけだったという例を紹介しています。
計算技能は、買い物という日常場面で当たり前に必要とされる技能なのです。
このように、数学は日常生活の中で非常に役に立っているにもかかわらず、日本の教育ではこうした意識付け不十分なのです。ましてや、「数学なんて役に立たない」というあらぬ噂まで立つ始末。確かに、経済学を学ばなかった人にとっては、関数の知識そのものが役に立ったという経験をすることはないかもしれません。しかし、それは個人的に経験・体験しなかっただけであり、世の中すべての人にとって、数学が役に立っていないという訳ではないのです。
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