算数・数学教育の国際比較(TIMSSの結果の概要) ゆとり教育で学力低下
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IEA(国際教育到達度評価学会)の国際数学・理科教育動向調査「TIMSS」
 64年から03年の国際数学・理科教育動向調査の結果の推移を見てみると、日本は、2位→1位→3位→5位→5位となっています。シンガポールは95年から3年連続の首位。フィンランドは今回は参加せず、前回(99年)は14位とふるわない。
 安倍内閣が教育改革の参考にしているイギリス(498点)は、基準を満たしていないためランク外扱いです。参考までに99年の順位は20位となっています。

【TIMSS】国際数学・理科教育動向調査の結果 中学2年数学
1964年 1981年 1995年 1999年 2003年
国/地域 得点 国/地域 得点 国/地域 得点 国/地域 得点 国/地域 得点
イスラエル 32.3点 日本 62.3% シンガポール 643点 シンガポール 604点 シンガポール 605点
日本 31.2  オランダ 57.4  韓国 607  韓国 587  韓国 589 
ベルギー 30.4  ハンガリー 56.3  日本 605  台湾 585  香港 586 
西ドイツ 25.5  フランス 52.6  香港 588  香港 582  台湾 585 
イギリス 23.8  ベルギー(フ) 52.4  ベルギー(フ) 565  日本 579  日本 570 
スコットランド 22.3  カナダ(ブ・コ州) 51.8  チェコ 564  ベルギー(フ) 558  ベルギー(フ) 537 
オランダ 21.4  スコットランド 50.8  スロバキア 547  オランダ 540  オランダ 536 
フランス 21.0  ベルギー(仏) 50.0  スイス 545  スロバキア 534  エストニア 531 
オーストラリア 18.9  香港 49.5  オランダ 541  ハンガリー 532  ハンガリー 529 
アメリカ 17.8  カナダ(オ州) 49.4  スロベニア 541  カナダ 531  マレーシア 508 
フィンランド 16.1  イギリス 47.4  ブルガリア 540  スロベニア 530  ラトビア 508 
スウェーデン 15.3  フィンランド 46.9  オーストリア 539  ロシア 526  ロシア 508 

 学力低下が問題になったときに、PISAにせよTIMSSにせよ数学の学力については「平均点がちょっと下がっただけではないか」という声もあったが、上の表にある通り、日本の得点も順位も着実に低下してきています。

▼同一問題79問中、前回を下回ったのは72問、やはり学力は低下していた!
同一問題による正答率の差(小は03年−95年、中は03年−99年)
小4 中2
5〜10ポイント以上
0〜5ポイント以上 14
−5〜0ポイント未満 13 47
−10〜−5ポイント未満 19
−15〜−10ポイント未満
−20〜−15ポイント未満
合計 36 79

 算数・数学の同一問題による正答率の差による問題数の分布では、小学校は同一問題36問中、前回より上がったのが17問、下がったのが19問となっています。中学校は、同一問題79問中、前回より上がったのが7問、下がったのが72問となっています。中学数学に限って言えば、明らかに学力が低下しているのです。

▼小学4年生以上の学習内容で学力低下が起きている
 これまで、学力低下問題で、具体的にどのような問題の正答率が下がっているのかということはあまり論じられてこられませんでした。しかし、TIMSSの報告書を読んでみると、小学校の算数で習った内容でも正答率が大きく低下していることがわかります。

 例えば、「4.03-1.15」という小数のひき算(ゆとり教育ではけた数制限のため発展扱い)では、99年(旧課程)の87.3%から、ゆとり教育では72.3%と15ポイントも低下しています。正答率が72.8%ということは、ゆとり教育では、4人に1人が小数のたし算ひき算ができないということになります。

同一問題で正答率が下がった問題の例 95年の正答率 03年の正答率 03年-95年の差
4.03−1.15 87.3% 72.3% -15.0
n~2個の正方形の中にできる(直角)三角形において、
50番目の正方形の中にできる三角形の数
54.4  43.6  -10.8
ある自動車の燃料タンクは45リットルでいっぱいになります。この自動車は、100q進むごとに、8.5リットル燃料を使います。燃料をいっぱいに入れて、350qドライブに出かけました。ドライブが終わって、タンクに残っていた燃料の量を選ぶ 47.2  38.4  -8.8
あるカップには1/5sの小麦粉が入ります。6sの小麦粉が入る袋をいっぱいにするには、このカップで何ばいの小麦粉が必要ですか 69.8  62.3  -7.5
2.25が、1番目の数よりも大きくて2番目の数よりも小さい2数を選ぶ 60.8  54.8  -6.0
25分から20分に短縮されたときの短縮の割合 44.5  38.7  -5.8

 小学校は同一問題36問中、前回より上がったのが17問、下がったのが19問となっているのに対して、中学校では同一問題79問中、前回より下がったのが72問と大半を占めています。小学生を対象とした調査は、小学4年生であり、小1〜小3までの学習内容が調査の対象となっています。この部分の学力はほとんど変わらないと考えられますが、小数、分数、割合など、小4以降で学習する内容で大きく学力が低下していることがわかります。

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